亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

Archive for the ‘kindle’ Category

インディー作品を調べてみる

01.01.2017 · Posted in kindle

Womanizer は女たらしの男。同じタイトルの本はたくさん出ている。

作者の Katy Evans は多分女性の作家で、 New York Times や USA Today、Wall Street Journal などで評価を受けた、 実話に基づく男娼の話を書くひと、らしい。

出版社はCreateSpace。 独立出版支援会社。 誰でも作家登録できるってことかな。 2000年くらいからあるもので、たぶんpubooとかカクヨムに近いものではないか。

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indie authors and indie publishers

01.01.2017 · Posted in kindle

いろいろ海外事情をググってみると、 indie なのにペーパーバックも出してたり、ペーパーバックしか出してなかったり、 いろんなパターンがあるのだが、 indie というのは単に個人作家を差すのではなく、 そういう個人作家を支える独立系の出版社があって、 さらにはそういう小さな出版社を支えるクラウドファンディングみたいなものが背景にあるんだろうなと思われる。

日本を見るとまだまだそういう、個人作家と中小出版社とクラウドファンディングの結びつきなどというものはほとんどみられない。

個人作家は kdp で、まさに自費出版と同じような感覚で、本を出している。 自費出版だが、電子媒体なので、kdpという仕組みのおかげで、出版費用はかからず出せている。そんな感覚。 いっぽう紙で自費出版をプロデュースする出版社も旧態依然としている。 素人からむしり取ることしか考えてない。 中小の中堅出版社はいまや社会の激動についていくのに精一杯、 淘汰圧に耐えるのでいっぱいいっぱいで新しいことには手を出せない。 ネットと結びついたいくつかの出版社は成長しているものの、多くのプレイヤーは前世紀から続く大手出版社だ。

著者もまた大手出版社を頼る。 同人作家もいざ商業出版しようとすると、まずは大手で箔を付けたいのだろうが、 いくら搾取されてもそこから独立するのは難しいらしい (マンガ界の竹熊健太郎とか佐藤秀峰なんかがその先駆かもしれないが)。 大手もよくわからないラノベ部門やラノベ文庫を抱えている。 大手出版社の闇はそうとう深い、と私は思っている。 みんながそこから抜け出したいと思っているはずなのに。

kdp は個人作家や自費出版をプロモートするものではないのかもしれない。 アマゾンが敵対しているのは既存の大手出版と大手流通だ。 そこをすっとばしてインディー出版社を育てる。 インディー出版社はすぐれた個人作家を発掘してプロデュースする。 そういう世界に我々を導こうとしているように思われる。

クラウドだか、或いはある特定のエンジェルだかは知らないが、 欧米にはちゃんとした投資家がいて、インディーを育てている。 きちんとマーケティングして、きちんと装丁して、普通の商業本と同じ体裁で世の中に送り出している。 だがね、日本の書店や流通がそういう本を店先に置いてくれるかな。 まあ、売れりゃ置くに決まってるけどね。

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01.01.2017 · Posted in kindle

kdp がメインなのは変わらないのだが、kwl と bwi (book walker indies) にも登録した。 kdp でプライスマッチするのが目的なので kwl だけでも良いかと思ったが(というか bwi の存在を知らなかった)、kwl にはいくつか問題がある。 kdp は再出版したり編集したりするとこまめにメイルを送ってくるのだが、 kwl は kwl に登録したときによこしたきりであとはこない。 しかもアップした epub に不具合があると出版停止になるらしく、 停止というより一旦削除されてしまうらしく、アマゾンがそれをみてプライスマッチをやめてしまう。 なぜ正常だったもとのファイルでそのまま出版を継続してくれないか。 非常にはがゆい。 その他とにかくいっぱいいっぱいな感じが伝わってくる。 今のままでは、修正・追記版をアップするたびに不具合で登録削除のおそれがあり、 kdp のプライスマッチが途切れて有料販売になってしまう。

もしかすると kwl だと最新版が常に読めるのかもしれない。 未確認だが。

bwi はも少しまともに対応しているような感じがする。でまあ、 今のところ仕方なく進出した形。

dmm は基本的にはアダルト通販サイトみたいなんで自分のポリシー的には近づかないほうが良さそうだ。

でまあ kdp メインで、無料サンプルは kdp + kwl + bwi という態勢でしばらくやってみる。

これまでは、私は基本的には自分の書きたいものを書いてきた。 そしていつかは私の本を読みたい人が、私の本までたどり着いて読んでくれるんじゃないかと思っていた。 私の読者の総数は世界中で数万人かもしれないし数千人かもしれないが、 たとえばコンスタントに2000部くらい売れりゃそれでいいと思ってた。 だがそのやり方では不十分だってことはこの3、4年でわかった。

私の書いたものはそのままでは全く売れない。 2013年頃売れてたようにみえたのはまだ作者自体が少なく、 なんか新しいものを読もうという読者が相対的に多かったからだ。 需要と供給の関係でいうと、需要も少なかったが供給はもっと少ない状況だったわけだ。

今、電子書籍は普及して需要もふえつつあるが、供給が何十倍かに増えたと思う。 そうすると無料キャンペーンやったくらいじゃ焼け石に水。やっても無駄。というところまできた。

それで多くの作者は、意識してかせずかは知らないが、読者サービスをするようになってきた。 読者が読みたいものを書けばそこそこ売れるってことに気付き始めた。 本が売れるかどうかは基本的にはクオリティではなくて需要である。

マンガが小説より売れる理由は簡単で、絵をかける人は少なく、絵を描くのには時間がかかるから、 自然と供給が制限されるのに対して、 マンガなら読もうかという需要は多い。 需要と供給のバランスでいうとつねに供給不足な状態になるから売れる。 小説は書きたい人が多くて書こうと思えば絵ほど手間はかからない。だからどんどん供給されてしまう。 需要は無いとは言わないがマンガほどはない。だから売れない。

売れる本のパターンも決まってる。エロとバイオレンスである。 それ以外ありようがない。 まったく無名の作者で宣伝もしてないのに、本の中身を読んで買う人がいるはずがない。 ここでもクオリティではなく需要によって売れるのである。 エロとバイオレンスならば読者は無限にいるといってよい。 だから、売り上げも途切れず長く続く。

もしエロとバイオレンスが無ければ、一定の読者に行き渡ればそこでぱたっと売れなくなる。 趣味の読者は有限なのである。 エロとバイオレンスは趣味ではない。 人間に共通の物欲であり、余暇である。 だからそこに餌を投げないと売れない。 昔は紙の本を出版するのは寡占だったから、自然と需要と供給のバランスが保てて、 エロともバイオレンスとも関係ない本がそこそこ売れるように見えたがこれからはそうはいかない。

世の中で、エロやバイオレンスを糾弾して、 戦争や、過労死や自殺、痴情のもつれの殺人なんかを非難しているその人が、 知らんぷりしてそういう小説やマンガを喜んで読んでいるのだ。 そういう構造が透けてみえる。 どうも人間というのは業の深いものだ。 私としては、特に必然性がないかぎり、その世界には入っていかない。

でまあ私が書いている無料サンプル、今のところ『妻が僕を選んだ理由』と『新歌物語』だが、 露骨にエロとかバイオレンスは出てこないものの、読者サービスで書いている。 バイオレンスはともかくとして読む人が読めば十分にエロは感じられるはずだ。 読者サービスに徹しているとはいわないが、万人受けする、老若男女が読んでもそこそこ楽しめる内容にしている。 そこで私の作品を気にいってもらえれば有料本も買ってもらおうというわけだ。

それでまあ、無料サンプルと割り切って今回書いてみたのだが、 私の場合無料サンプルを書くつもりで書いたほうが自分としても面白い作品になるような気もしたので、 今後は少し検討してみる。

私の場合には kdp をハックしている感じだ。 『妻が僕を選んだ理由』はプライスマッチがはずれるまで失速せずにそれなりにダウンロードされていた。 そうすると無料kindle本のランキング上位に浮遊する。 こまめにサブカテゴリーまで見るひとには目立つことになる。 よくよく見ると、ロマンスとか歴史のサブカテゴリーにはほとんど他の本がないから、 ここに無料サンプルを投入することには意義があると思ったわけだ。 『妻が僕を選んだ理由』がロマンスでそこそこうまくいった感があるので、 今度は私の得意分野の歴史ジャンルに『新歌物語』を投入した。

私のもくろみが正しければ『妻が僕を選んだ理由』と『新歌物語』の連携プレイで、 マイナーサブカテゴリーで順位をそこそこキープできて、 新しい読者がときどき kindle unlimited を読みにきてくれるだろう。 そんな戦略、というかハックでいこうと思っている。 それにはプライスマッチがコンスタントに機能していなきゃいけないのに kwl と来た日には。

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妻が僕を選んだ理由(再)

12.23.2016 · Posted in kindle

今もちょっとずつダウンロードが続いており、 一番最初の頃有料で買ってもらったのとプライスマッチで0円で落としてもらったのを合わせて 671。 多いようなそうでもないような。 でも、1000ダウンロードまでいったら少しは祝ってもよいかもしれない。

たぶん「ロマンス」のジャンルで目立っているので、 ダウンロードが減りにくいのだと思う。 そうすると「SF」でも浮上するから、どれ落としてみるかという人が出る。 そう思ったから表紙も「ロマンス」風に変えて、 内容も「ロマンス」風に書き足してみたりした(笑)。 具体的には、メアリーとの会話などの描写を細かくし、 サブキャラのナターシャとの逸話を増やした。 気付いてみるとナターシャはなかなか面白いキャラだ。 ただこれ以上話を膨らませるには私には知識も経験も不足している。

知り合いに結局メアリーはどうなったのかと聞かれたのだが、 彼女は she has vanished であって、 作者としても彼女の結末は undefined なのである。 ディープラーニングの研究者にディープラーニングの仕組みがわからないように、 電脳の海に沈んだメアリーがどうなったか、私にもわかるはずがない。 その他いろんな裏設定があるが、書かずに済ませていることが多い。

読む人が読めばばればれなのだがこの作品は直接的には fallout: new vegas の影響でできたものだ。 もともとは「ジオコミューン」というタイトルで、 メアリーの正体を推理させつつ読み進ませるというものだった。 しかしどんどん加筆したのは、あまりにも fallout に寄りすぎてると感じたので、 それ以外の要素を増やしたのである。 またあとから「ロマンス」の要素をどんどん足していった。 「ロマンス」だと思って落とした人にもそれなりに満足してもらえるように。

進化論についても調べていくうちにいろいろ追記しなくてはいけなくなった。

結果的には、何度も塗り重ねた厚塗りの油彩画のようになった。 自分でもなんと形容してよいかわからない代物になった。

私は子供の頃油絵もやっていたのだが、一日で一気に描くことが多いが、 気に入って何度も塗り重ねることもある。 今回は後者になった。

読む人が読めばすぐわかるから書くけど、 メアリーの会社はロサンゼルスにある。 砂漠というのはモハビ砂漠のことで、ばかでかいダムというのはフーバーダムのことだ。 軍用機が飛んでいるのはネリス空軍基地があるから。 メアリーの生まれ故郷はラスベガス、だということになる。

でまあ、fallout のファンが私のこの作品に巡りあうことってあるのかね?

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妻が僕を選んだ理由、16日目

11.28.2016 · Posted in kindle

いちおう宣伝を兼ねて。

驚いたことにまだ売れている。 無料本なので、売れているというのは変だが、ダウンロード数のいきおいはさほど衰えてない。 といっても総数はこれまでやった無料キャンペーンと大差ないのだが、 これが今後も持続するとしたらすごいことだ。

理由はよくわからないが、やはり、世の中には、 なぜ妻は私を選んだのだろうと思う男がけっこういて気になってとりあえず読んでみるか、 無料だからとりあえず落としてみるかという気になるからじゃなかろうか。 そういうことは案外女性も気にしているかもしれない。 読者の男女比も知りたいところだ。

もちろん男女のロマンス、夫婦の情愛のようなものを、描いてないわけでもなく、 逆ハーレロマン的な要素もなくはないのだが、 エロやバイオレンス的なものは一切なく(いや、暗示するものはあるが)、 魔法や超能力もなく、 本質的にはがちな近未来SF。 起承転結的なものも特になく、ただひたすら「妻が僕を選んだ理由」は何かを読者に推理させ、読み続けさせる話、 とでもいうか。 だけどアマゾンのレビューには「サスペンスドラマ」と書いてもらった。 スリルや怖さをことさら演出したわけではなかったが、そう感じてもらえたのはうれしい。 ともかく良いレビューを書いてくれた人がいたおかげで、リバウンドしたのはよかった。 非常にありがたい。

学術的な難解な問答。すいません。 あれは、読者サービスならぬ著者サービスです。 著者の自己満足なので我慢してください。飛ばして読んでも全然問題ありません。

ともかくほとんど無名作家の私の場合、 読者サービスをするつもりで、無料サンプルを書くつもりで書くくらいがちょうどよいらしい、 ということがわかった。 でもこれが無料でなかったらどのくらい売れただろう?わからん。そんなこと考えてもしかたない。

実はまだ手直ししている。 プロットの変更はさすがにないが、細かな描写の追加はある。 誤記もまだたまにあるので油断ならない。

Amazon 売れ筋ランキング:

1位 ─ Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > ロマンス

この「ロマンス」には他の無料本がほとんどないので、別にどうでもよいのだが、 もしかするとそこに意味があるのかもしれない。

1位 ─ Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > SF・ホラー・ファンタジー

1週間以上この状態が続いているはずだ。 このジャンルは私の知り合いの KDP作家が一番書いているところなんでびっくりしてる。

12位 ─ Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 小説・文芸

これもけっこうすごいことだ。このジャンルでは夏目漱石『吾輩は猫である』『こころ』、 太宰治『人間失格』が玉座を独占しているのだが、 そのはじっこにつらなっている。

Kindleストア 無料タイトル – 28位

この位置をキープしているというのもかなりすごい。

公開して16日が経過した。 明らかに今まで書いた本とは反応が違うので楽しい。 それはそうと私の他の本がついでに読まれるかというと、いまのところそうではなく、むしろ減ってる。 思うにとりあえず無料本から読んでおこうかという動きかもしれない。

kobo ではまだ1部もダウンロードされてない。 kobo よ・・・。

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狙いは悪くないらしい。

11.19.2016 · Posted in kindle

最初ちょこちょこ間違いを修正しながら加筆したりしてしまうのだが、 出版して1週間ほど経過して 「妻が僕を選んだ理由」 はやっと落ち着いてきた。 すでに読んだ人、買ってもらった人には悪いのだが、私の本はだいたいそんなものだ。

一箇所、「ナターシャ」のはずが「メアリー」と書いたところがあった。 ごめんなさい。 他にもいろいろ間違いがあった。もうだいぶなくなったと思う。

「妻が僕を選んだ理由」「潜入捜査官マリナ」はわざと「大衆小説のようなもの」を書いたのだけど、 狙いは悪くなかったらしい。 というのは、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」 に出てくる本が多くて、しかも今までと全然違うジャンルの本が出てくるからだ。 今までとは全然違う人の目に触れているのは間違いない。

KDP を始めたのはたしか 2013年頃だったはずで、この3年間で知り合いになった人も多くて、 最初から見てくれていた人たちはもちろんありがたいのだが、 私としては、普通の書店に並べるように、あるいは図書館に置いてもらうようにして、不特定多数の人の目に触れてもらいたいのだ。 同人活動のようなことがしたいのでは決してない。 日本の文芸史に果たした同人の力は大きいし、今も脈々と、コミケのような巨大イベントや pixiv のような形に引き継がれている。 しかし、だからこそ、同人活動というものはやり尽くされていて、どんなものかというのはやる前からおよそわかっている。 KDP にはまだ未知の要素があって何が起きるかわからないのが面白い。 もちろん KDP と同人活動という、この異質なものが融合して、なにか新しい化学反応を起こすかも知れない。 しかしもし私が同人活動というものが好きならすでにやっているはずだし、 学会活動というようなものならもうすでにやったし、そしてすでにその限界を見て疲れてしまった。 つまり私は旗振り役にもなれないしかといってただのメンバーでいるくらいなら個人で動こうと考えてしまう。

「妻が僕を選んだ理由」は出たばかりだが、 「潜入捜査官マリナ」が一番関連書籍が多く、 「エウメネス」は「妻」「マリナ」より少なく、 かつ、これらの本の関連書籍は見事なまでにかぶっていない。 書いてる自分も意識して書いていることではあるが、一冊一冊ジャンルがばらけている。 「虚構の歌人」「ヨハンナ・シュピリ」もたぶんジャンルはかぶってない。 つまり私の場合いろんな場所で撒き餌をまいているわけだ。 「エウメネス」は撒き餌のつもりではなかったが、 「妻」と「マリナ」は明らかに魚影の濃いところを狙ってまいている。 そしてもう完全に新人賞は無視することに決めた。アマゾンに乗っかるほうがましだと思い始めた。 kobo は全然売れてないし、カクヨムも全然読まれてない。 私の本がまがりなりにも売れたり読まれたりしているのは明らかにアマゾン様のおかけだ。

「虚構の歌人」「ヨハンナ・シュピリ」に関していえば、まあ、普通に言って無名の中年新人の小説は売れませんよね。 それよりかかっちりした学術書を書いたほうが、私という人間には需要がある、ということでしょう。

なんでこんなことを始めたかといえば、 「特務内親王遼子」がまったく売れなかったせいかもしれない。 ともかくも、世の中が必要とする本を書いて誘導しないことには、 私が世の中に読ませたい本は読まれない。

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妻が僕を選んだ理由

11.15.2016 · Posted in kindle

カクヨムでだんだんに肉付けしていったものを、 だいたいのところで kobo ライティングライフで無料で出版しておいて、 そのあと KDP で 99円で出して、 今 0円にしてもらえないかどうか交渉しているところなんだが、 もう買ってくださった人がいらっしゃる。

KDP で試し読みした人はいないので、たぶん KDP 関係者の人は twitter を読んでて早めに読みたい人はカクヨムを読んで、 0円になるのを待っているのだと思うのだが、 たぶん、kindle でタイトルだけ見てすぐ買った人がいるということなんじゃないか。 kobo ではこうはいかない。 アマゾンは偉大だ。

ほとんど書き終えているんだけど、今も、たとえば、

彼女はまずドライブスルーのマックに車を駐め、インターホンに向かって大声でオーダーする。

とだけ書いていたところを

淡い青紫の花の房が枝をたわわにたわませているジャカランダの並木道を走らせ、金持ちが住む住宅街を抜けて、彼女はまずドライブスルーのマックに車を駐め、インターホンに向かって大声でオーダーする。

などのように加筆したり、

涼しげな木陰を店先に落とすベンジャミンの巨木が印象的な、海風に吹かれるオープンテラス。

みたいな言い方をして「西海岸」っぽさを出そうとしている。 これに対して

さんさんと日の当たる公園のベンチは暖かかったが川にはもう氷が張っていた。

というのは「東海岸」を表現しているつもりで、

フィヨルドに流れ込む川はどれも細く急流で、ときにははるかな岩の上から、海に滝となって流れ落ちる。その水は澄んでいるがごく冷たい。

というのは北欧辺りをイメージしているわけなんだが、 そういう細かな枝葉が必要かどうか私には、実はよくわからない。

「たわわにたわませる」というような言葉遊びは好きだし(「たわわ」と「たわむ」は同語源)、 西海岸、東海岸、亜寒帯の空気感の違いは出せるものなら出した方が良いと思ってやってみている。

最近はわざとプロットやタイトルが一般読者向けの小説を書いている。 「潜入捜査官マリナ」「妻が僕を選んだ理由」などがそう (「生命倫理研究会」は単にラノベを書こうとして失敗した例)。 官能小説か大衆小説みたいなタイトルを付けて、 冒頭ぱっと見、ハーレクインロマンスみたいな展開にしている。 それはまあ、疑似餌なわけだが、 疑似餌は疑似餌なりに楽しめるようにしておきたいし、 読み始めて違う意味で興味を持ってもらいたいと思っているのである。 ある意味騙してるみたいなもんなので、作品解説でもいちおうネタばらしはしてあって、 そのうえ念を入れて無料配布にしたいのだが、 有料で買っていただけて恐縮している。

実は4万字しかなかったのを8万字まで増やすためにエリックというキャラを追加したのだが、 これは結果的には一応良かったと思っている。 エリックはベタなキャラで、彼の登場で明確な三角関係ができる。 ストーリー的には安定するが、少し陳腐な匂いがしなくもない。

「妻」はなぜ「僕」を選んだか。これは完全にSF的な理由なので、 多くの人はだまされると思う(騙されなきゃ作者は困る)。 まあこれ以上自分でネタばらしするのはやめておこう。

今回の表紙絵は、JPEG のリンギングがあまりにひどいので背景になにやら模様をつけた。 これは clip studio paint のフィルタだけで描けるものだ。

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10.24.2016 · Posted in kindle

著者セントラルのランキングは1時間おきに更新で、 KDPの販売データ一覧は1日に1度くらいの更新らしいんだが、 ランキングが微妙に増えてるなと思った作品が売り上げではまったく売れてないし、 KENP も無い。

ランキングが低いと KENP に変動がなくてもランキングが上がったりするということなのだろうか。 非常に紛らわしい。 アルゴリズム的になんか間違ってる気がする。

そんで逆に KENP を見るとまあまあ健闘しているように見える作品のランキングがあまり上がらなくなった。 アマゾンがなんかいじってるのに違いない。

エウメネスは1から3まで堅調。 続編を書けば読んでもらえるというのであれば書くしかないわけだが、 何を書こうか迷っている。 ガウガメラの戦いとかソグドの戦いならすぐに書けるのだが、 そっちに行く前にスパルタとかオリュンピアスとかアルトニスとかハルパロスとか、 そういうサブストーリーを書いてみたい。 エウメネスをガウガメラではなくてギリシャ本土に行かせて、 オリュンピアスやスパルタと絡ませたい。 となると、史実というよりはほとんどは創作で書くしかないことになる。 エウメネスはオリュンピアスと仲が良かった。 どこに接点があったのか。 史実は何も残ってないから想像で書くしかない。 オリュンピアスについても、従来、悪い女、悪い妻、悪い母としか描かれてなくて、 それらはおそらくどれも嘘なのだけど、 嘘だと断じる証拠がないと書きようがないんだが、 オリュンピアスはずっとエピロスという田舎にいたので、 実際何をした人かまったくわからない。

スパルタについて調べようとするとほとんど何もわからない。 アテナイ人と違ってスパルタ人はほとんど何も歴史を残さなかったからだ。 スパルタがそんな大したポリスであるはずがない。 私の直感ではそうなる。 しかしスパルタが大した国じゃなかったってことを書くにはそれなりの証拠が必要だ。 その証拠がなかなか集まらない。

アルトニスもよくわからん人だ。 単なる、エウメネスの良妻賢母、というわけではないはずだ。 ではどう描けばよいか? ていうかバルシネを描いた人は多い。 バルシネは派手な人だからキャラとしては描きやすい方だ。 バルシネの妹でエウメネスの妻であるアルトニスを描いた人はおそらくこれまで誰もいないはずだ。 ではどう描けば良いか? 私が書いたものの中では、アルトニスはレスボス島からアテナイに渡ってきて、 リュケイオンでエウメネスの学友だったことにしている。 ではそこからどう発展させれば良いか?

構想はいろいろあるが書き始めることができない状態。 歴史に残ってないものを勝手に補うというのはつまり歴史小説の中に時代小説やファンタジーを埋め込む手法であって、割と面白いのだが、そのチューニングには技巧を要する。 ウィキペディアの解説みたいな歴史小説を書いても仕方ないのは明らかだ。 史実は史実としてきちんと大枠を構築しておいて、 その隙間に、埋め草のように、フィクションのエピソードを埋めていく。風俗もできるだけ盛り込んで風味付けにする。そうするとゴージャスになる。

サイゾーやニューズウィーク、SAPIOなどの雑誌もランキング上位に浮上してこなくなった。 そのかわり変なやつが上がってくる。

MdN と CG World は読むようにしている。 CG World は最新号だけ unlimited を外しているのだろうか? よくわからない。 unlimited なので、雑誌は読まなきゃ損なのだが、 ル・ボラン、音元出版、時計Begin、眼鏡Begin など面白いっちゃ面白いが、 読んでるだけでおなかいっぱいになって、なんかどうでもよくなってしまう。

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「既読KENP」以外の指標

10.08.2016 · Posted in kindle

アマゾンはキンドル本がどのように読まれているかという膨大な、生のデータを持っているわけである。 その一部を著者は「既読KENP」という形で見せてもらえるのだが、 アマゾンはもっと詳細にこの「読まれ方」のデータを分析しているはずだ。

ある本は、200ページあっても3分くらいで読み飛ばされているかもしれない。 それらのキンドル本にはある種の特徴があるだろう。 みなの関心は高いが、読んでみたらつまらない写真集、つまらないコミック、 だったのではないか。 それは読者にも容易に推測できることだった。 ただ単に既読KENPを稼ぐ本を作ることは簡単だ。 エロ、エロ、エロ。猫、猫、猫。デジカメがあれば誰でも撮れるようなくだらない写真の羅列。 改行、空行、改行、空行。 「え。」とか「あ。」とかばかりの短い行の羅列。 或いは、単なる素人に書かせた短編集、マンガ雑誌のたぐい。

こうしたことは当然アマゾンにはバレバレだし、それはレビューにもすぐに現れる。

「既読KENP」以外の指標をアマゾンは持っている。 最小の労力で最大の「既読KENP」を獲得するような小手先の技が流行ることをアマゾンが許容するはずがない。 しかも写真集や漫画はキンドル本のデータ量も大きく、アマゾンにしてみると余計な負担になる。

もちろんほとんど読まれない本に関していちいちアマゾンが問題視することはあるまい。 ものすごく売れているが実質的には読まれていない、 それを理由にアマゾンが Kindle Unlimited から除外するのは当然だろう。 そのことをアマゾンはある程度出版社に伝えたに違いない。 しかし出版社は、著書を Kindle Unlimited に加える旨、作家やカメラマン、グラビアの女優らに許可を得ているはずで、 アマゾンから、君の本はつまらないから Kindle Unlimited から除外するね、と言われた、 ということをそのまま伝えると、そりゃ激怒するわね。 だから一応出版社は拳を振り上げてみせなきゃならん、著者の側に立って著者を守るふりをしなきゃならんのだが、 つまらないってことは、編集者や、著者本人を含めて誰にもわかってることであり、 アマゾンがデータを出してくれば誰もが納得するだろう。

そもそも何を Unlimited にするかってことはアマゾンが勝手に決めて良いことになってるはずだし、 一旦 Unlimited にしてそれを外したからといって怒ってもしょうがないことじゃないか。

そんでいろんなことを勘案してみるに、アマゾンは外圧であり黒船であるから、 読者の反発を煽ってアマゾンに譲歩させようという、あまり賢くない戦術に出ているのだろうと考えられるが、 正当な理由があるアマゾンがいずれ勝つだろうと思う。 いろんなメディア、特に今回は、アフィリエイトブログやニコ動辺りがこすく煽っているのだが、 いろんな憶測や伝聞をそれらしくまとめているだけで事実ではあるまい。

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文中の(  )にあてはまる文字を入れなさい

10.04.2016 · Posted in kindle

今更読んでみた。 読んだがよくわからなかったのでネットでぐぐってみた。 そうするとだんだんわかってきた。 感想を書いている人が多いのにすこしびっくりした。

つまりこういうことか。麻美は百崎Pにそそのかされてボーカルになりステージにあがったがうたいだしが思いつかなかった。 パニックに陥り「少女3」のところで、異世界にとばされたのだ。 なんだつまりは異世界ものか、と思った。 つい最近「パプリカ」を見たのでそれに似ているなと思った。 よくわからない(と、いうより、わざとはぐらかしたような)ハイテンションが続く展開。

少女パートと少年パートが交互に進んでいって最後にボーイミーツガール話になるかと思ったら、 そういう可能性もあるがそうしなかったみたいなメタな結末。

それで伊能忠敬がよかったとか、異世界に飛び込んだ感じが良かったとか感想書いている人がいて、 自分はそこでツボらなかったし、 ハイテンションな疾走感のある、というか迷走してる感じの文体というかストーリー展開に引き込まれることもなかった。 そういう展開の中に自分から飛び込んでいき浸れる人には面白いのだろうが、私はそういう読書をするには年を取り過ぎたし、 いや、年を取ってもそういう読書をする人はいるんだろう。 祭りだから踊っとけという人だけが祭りの中へ入っていける。私はもはやそうではないんだなってことを改めて知った。 では実験小説、前衛小説として評価しますかと言われたら、うーん。 では次回作まで判断は保留しますか、という感じかなあ。 ま、次回作ももう読んじゃったんだけどね。

ダダイズムの詩や絵画みたいなもので異世界を表現されても、 普通の前衛小説の表現と見分けがつかなくて、 どこから異世界に入り込んだのか私にはわかりにくかったのでした。 私が、異世界ものを普段読まずになれてないせいかもしれないが。

たとえば 1984 を読んでいるときに、途中で異世界やファンタジーが混ざり始める、なんてことは決して考えずに、 私たちは読み進める。 ふだんからそういう頭でいる人間にはファンタジーまじりのフィクションは読めない。 読んでて途中でわからなくなるのはしかたないよね。

1984 から 1Q84 を調べてて知ったのだが、 1Q84 ってボーイミーツガールな異世界転生話なのね? てことは今ラノベ界で大流行な「ボーイミーツガールな異世界転生話」というのはもしかして村上春樹の影響なの? もしかしてラノベって多かれ少なかれ村上春樹に影響されてるの? もしかしてこの世界が理解できない私というのは、 村上春樹を全く読まないからなのだろうか。 そんな気がしてきた。 けっこうな人たちが村上春樹の方向へつっぱしてっている世の中で取り残されたような気分がしている。

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