亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

Archive for the ‘食’ Category

豆乳の凝固過程

09.27.1998 · Posted in

大学で豆乳の凝固(ゲル化)過程の研究をしてる人もいるのだ.一度あって話を聞いてみたいものだ.しかし未だになぜ豆乳が凝固するのか,まともな説明を聞いたことがない.もしかしたら誰もほんとうのことは知らないのかもしれない.

凝固剤に塩化マグネシウムを使うと,大豆60kgから420丁の豆腐しか作れないが,硫酸カルシウムだと1500丁,グルコノデルタラクトンだと3000丁作れるという定量的(笑)なデータが提供されている.なんで大豆が60kgなのか. 60kgというのが卸売の単位にでもなっているのだろうか.まあそりゃそうと, 1丁とは何gなのだろうか.まあそれもどうでもよい.

さて,塩化マグネシウム(ニガリ),硫酸カルシウム(石膏),グルコノデルタラクトンの三つは,日本の豆腐の代表的な凝固剤である.こんど豆腐を買ったときには,添加物の表示に注意してみてもらいたい.この凝固剤の固まり易さの比が,420:1500:3000=1:3.6:7.1 だというのである.

固まり易いほど,同じ分量の大豆に対して余計に水分を含ませて固めることができるから,凝固剤に固まりにくい塩化マグネシウムを使った方が,大豆の割合が大きいので,結局おいしい豆腐になるという論法だ.

しかしそれはおかしな話で,水分が多いのはそもそも凝固剤が悪いのではなく,水分を余計に混ぜる製造元が悪い.グルコノデルタラクトンを使っても,大豆成分が多い豆腐は作れるのである.

他説によれば,ニガリは豆乳に混ぜるとただちに凝固を始め,均等に固めるのが難しいので,大量生産には向いてないという.それもまたおかしな話で,スーパーにはニガリ100%の豆腐はたくさんならんでいる.スーパーに置いてあるような豆腐で大量生産でないわけがない.まあそれにしても,ゆっくり均等に固まる方が大量生産には向いているだろう.

それから,中国の内陸部,麻婆豆腐が名物の四川とか,では,塩化マグネシウム(ニガリ)よりも硫酸カルシウム(石膏)を凝固剤に使うことが多いと思われるし,そのように書いた本を読んだことがある.ニガリを使うのは日本人だけかもしれない.

問題は水分の含量や凝固剤の固まり易さとかではない.水分と大豆の比率を一定にするなど,諸条件を同じにしたとき,いったいどの凝固剤を使うと一番豆腐がおいしいか,ということに尽きる.

私の感じでは,石膏とグルコノデルタラクトンはほとんど無味であるから,大豆や豆乳の風味をいかしたいのなら,こういう凝固剤を使うべきだろう.一方,ニガリは微量でも極めて苦いもので,しかも固まりにくいから大量に用いなくてはならない.それを薄めたり,後から抜いたりしても,最終的にはほんのわずかのニガリの風味が残る.ところがこれは苦みというよりも,独特の旨味として知覚されるらしい.現在,上記の三種類の凝固剤を配合して使っている場合は,ニガリを単に味付けに使っているんじゃないかと私は思う.

で,ニガリが効いてて,堅い豆腐の方がうまい,と世間では考えがちなのであるが,私はニガリがまったく効いてなくてふにゃふにゃな豆腐にも,それなりにうまい豆腐はあると思っている.豆腐の堅さと大豆成分の比率についても私は疑問を持っている.大豆成分が多くても絹漉だと柔らかいままじゃないかという気がする.堅ければ堅いほど大豆成分が多くてうまいというのはおかしい.そもそも充填絹漉だからまずいというのもおかしい.充填絹漉でもちゃんと大豆成分を増やせばおいしい豆腐になると思う.水にさらしたいわゆる木綿豆腐よりも,充填絹漉の方が大豆の旨味が封じ込められていてうまいのじゃなかろうか.私はあまり木綿豆腐はうまいと思わない.私が一番うまいと思うのはある種の「ざる豆腐」である.

グルコノデルタラクトンはハムなどにも添加される.ハムの色調を整えるためにはpH調節が必要で,そのためにグルコノデルタラクトンを加えるとのこと.ということは,グルコノデルタラクトンは加水分解してグルコン酸を生じるから, pHを下げるために使われるのかな.すると,グルコノデルタラクトンは多少すっぱいのかもしれん.

豆乳の凝固過程 はコメントを受け付けていません。

なぜ豆腐は固まるか?

05.24.1997 · Posted in

野田春彦著「生命の起源 改訂版」NHK ブックスというのを読んでいたら,コアセルベートの話のついでに「なぜ豆腐は固まるか?」についてほんの少しだがヒントが書いてあった.つまり蛋白質は水という溶媒に溶け易い.が,塩やアルコールを加えると,蛋白質が水に溶けにくくなり,蛋白質どうしが集まって沈澱することによって豆腐が析出!するのだそうだ.

なるほど.でも,なぜ塩化マグネシウムよりもグルコノδラクトンの方が固まり易いのか?なぜ豆乳を熱するのか?については未だ明らかにされてはいない.さらなる研究を要するとみた.しかし,世の中には蛋白質に詳しい人もいるだろう.蛋白研の人とか.豆腐研究を本職にする人もいるだろう.その人達に聞くのが早いのではないか.まあいいや.

なぜ豆腐は固まるか? はコメントを受け付けていません。

γラクトンとδラクトン

05.01.1997 · Posted in

岩波理化学辞典.グルコン酸 gluconic acid は水に溶けると一部がラクトンに変わる. γラクトンとδラクトンがある. このグルコノδラクトンは水に溶かすとすみやかに加水分解されて,酸-ラクトン平衡に達するという. ううーむ.で,結局のところ,豆乳にグルコノδラクトンを加えて熱するとどうして固まるのでしょうか.

γラクトンとδラクトン はコメントを受け付けていません。

グルコノデルタラクトン

02.17.1997 · Posted in

薬剤師の女性に,長年の謎であった「グルコノデルタラクトン」について聞いてみたところ,家に帰って教科書で調べて FAX で送るとのことであった.

早速送ってもらった.「グルコノデルタラクトン.白色の結晶又は結晶性粉末で,味は初め甘く,次に加水分解され,グルコン酸を生じ,わずかに酸味を呈する.食品では,大豆,牛乳の蛋白の凝固剤の他,膨張剤原料,酸味料,キレート剤などに用いる.」

ふむ.つまりグルコン酸というものが,蛋白質を固化させるんだな…. もちっと調べてみたくなったのだが,今「岩波理化学辞典」がどこかに行ってて調べられない.

グルコノデルタラクトン はコメントを受け付けていません。

豆腐作り

10.06.1996 · Posted in

ハウスの本とうふという手作り豆腐があり,これは大豆の粉を水に溶かして煮立たせたのち凝固剤を加えて作るもので,豆腐は確かに作れるんだが,こないだ試した「手寄せ豆腐」とは違い,まるきり普通の「絹漉し豆腐」の味で,これなら普通に売ってる絹漉し豆腐を買った方がましだ,という結論に達した.ただしこれなら,水気がない分軽いし,日持ちはするだろうね.あと,キャンプに持っていくとか.

今は冷蔵庫に入れとくだけで半年くらい保つ豆腐がある.あれは充填絹漉し豆腐の一種で,結構おいしい.

日曜ふと「東急ハンズならニガリを売っているんじゃないか」と思い立って,ついでに出来たばかりの新宿のハンズでも見物するかと,まず渋谷のひまわり(床屋)に行ったあと,わざわざ新宿に出かけた.予想はされていたことだったが,東京人の新しもん好きはすさまじいもんがある.交通の要所で,首都圏の人口のキャパシティが大きい分,なんか珍しいもんがあるとたちまちこんだけの人数が繰り出してくる.高島屋もハンズもむちゃくちゃな行列だ. Sega の JoyPolice や紀伊国屋書店もある. JoyPolice 大繁殖中だな.あほらしいので,代々木まで歩いて,渋谷に引き返した.代々木駅は,実は新宿北口や東口なんかよりも新宿ハンズには近いようだ.でもあほみたいに空いていた.恵比寿ガーデンプレイスが目黒と恵比寿のほぼ中間にあるのと同じようなもんだな.あれも,目黒から動く歩道をつければいいんじゃないの?したら,動く歩道だけで目黒から恵比寿までいける.ついでに山手線一周,動く歩道だけでぐるっと回れるようにするってのはどうだろう(笑).

代々木駅は南口しかない.北口があれば高島屋方面に行くにももっと近くて便利なはずだ.

渋谷のハンズの, 2A キッチン用品のフロアに,なんとニガリは売ってあった. 10 g 入りの袋が 20 くらいパックになったのが,なんと 300 円.安いもんだ.あとは豆乳.あちこち百貨店めぐりをしても,「調整豆乳」は売っていても,「単なる豆乳」は売っていない.サミットでスジャータの「豆腐のできる豆乳」を買う. 500ml で 110 円くらい.安いもんだ.

豆腐作りを試みたのだが,大失敗だった.あまり固まらない上に「苦すぎる」のだった.要領が皆目わからないので, 10 g のニガリを茶碗に入れてお湯を足して溶いてみた.ニガリというもんはどんな味がするんかの?という好奇心から一口なめてみたら,めちゃにがい.おかげで何度もうがいした.豆乳と混ぜるとこの強烈なにがみが取れるもんかな,と楽観的に考えて,ひと煮立ちした豆乳にニガリを加えたのだが,なかなかうまい具合に固まらない.しかも強烈ににがい.

ようするに今回,素人が単に豆乳とニガリを混ぜただけでは豆腐はできないんだよ,という至極当然のことが明らかになったわけだ.

豆腐作り はコメントを受け付けていません。

寄せ豆腐のもと

09.29.1996 · Posted in

サミットはスジャータの「豆腐のできる豆乳」を売っていたりと,豆腐にはなかなか造詣が深いスーパーであるとお見受けいたす.それで,今回非常に珍しいもんをみつけた.寄せ豆腐,おぼろ豆腐,汲み出し豆腐,釜出し豆腐などいろいろ言い方はあるが,その類の豆腐は最近はどこのスーパーでも手に入るようになった.ところが,これは,寄せ豆腐のもと,というかなんというか.普通の寄せ豆腐のような,プラスチックの容器の中に,なんと豆乳が入っており,それとは別に液状のニガリがちっちゃなビニールの袋の中に入っている.豆乳にニガリを入れて「電子レンジで 3 分温め」,そのあと 5分待てば出来上がるとのこと.

おおっ!すげえぜ!なんてこったい.

うちには電子レンジなぞという文明の利器はない.ミルクパンで豆乳を温めつつ,ニガリを投入(シャレを言ってる場合ではない)する.専門用語では「ニガリを打つ」というらしいが. 70 ~ 80 度くらいで温めるというのは,以前何かの本で読んで知っていたので,ちょうど牛乳を温める具合に温めるんかな?と思いつつガスコンロで温めてると.おおっ.固まる固まる.

スプーンですくって食べてみると,なんと感動的にうまい!むう.おそらくこれが豆腐の,いや大豆の一番うまい食いかたではあるまいか.

そうか.豆腐は豆乳とニガリさえあれば,こんな簡単に豆腐は作れるのだな.豆乳はスジャータのを買えばよい.なければ 1 日水に浸して,ミキサーで砕いて漉せばいいのだ.問題はニガリだな.どこにいけば手に入るのだろう.そりゃあ,豆腐屋にいけばあるだろうが.売ってくれるかなぁ.

寄せ豆腐のもと はコメントを受け付けていません。

充填絹ごし豆腐

05.27.1996 · Posted in

市販の豆腐では,あたりはずれが比較的少ないという意味で「充填絹ごし豆腐」が好きだ.固めたあと水にさらしたやつは,味が抜けてしまってるような気がする.「充填絹ごし豆腐」は大豆の味が封じこめられているような気がする.今日は最初そのままで,そのあとフリーズドライの「きざみわけぎ」と醤油をかけて食べてみた.

充填絹ごし豆腐 はコメントを受け付けていません。

白子

12.26.1995 · Posted in

白子が旬らしいので良く食べるのである. 白子というと,鱈の白子だと思ったら,こないだは鮭の白子というのもたべたのである. 普通の (鱈の?) 白子はひだひだが一杯入ったやつだが,鮭の白子は (ちょうどゆでたタラコのように) ストンとしていて少し歯応えがある. 鱈の白子の方がおいしいと思うなっ.

白子 はコメントを受け付けていません。

ふたごのピータン

11.05.1995 · Posted in 雑感,

きのうとある居酒屋でピータンを注文したら,なんと黄身が二つ入っているやつだった. ピータンじたいあまり普段は食べないが (というか,居酒屋にピータンがあるのは珍しい),黄身二つというのは初めて食べた. もちろん,黄身といっても例のように,濃い藍色になっていたが.

ピータンを食べながらビールを飲むと口のなかがなんとなく甘ったるくておいしくないことがわかった.

上海交通大学に見学にいったときのこと,構内の掲示板にいろいろな新聞がはってあった.壁新聞がはってあるのではなくて,普通の新聞をばらして一面ずつ順にならべてはってあるのである.日経の本社ビルの壁にも日経新聞が同じようにはってあるよね.

掲示板の前を歩きながら読んでいくのだが,人民日報だけは誰も読まないらしくて,前に誰も立っていなかった.人民日報はうそばかり書いてあるので,誰も読まないのだそうである .

ある中国人の話であるが,かつて人民日報は,日付と天気予報以外はうそばかり書いてあった. そのうち,天気予報もうそを書くようになった. というのも,その日の最高気温が 35度以上になると会社が休みになる決まりなので,記事をごまかしたのだそうだ. そのうち,日付も間違ってしまったので,人民日報には何一つ本当のことは書いてないことになってしまったそうだ.

武漢ではいまでも人民服を着ている人が結構いる. 昔,友人が高校の修学旅行で中国にいったときに,おみやげで人民服を買ってきてもらったことがある. その服はもともと小さかったのか,洗ってるうちに縮んだのかして,着れなくなってしまった. 去年北京にいったときには,それほど人民服を欲しいとは思わなかったのだが,今回はまた欲しくなって,特に灰色の人民服が欲しくて,武漢と上海でいろいろと探してもらったのだが,もはやどこにもなくて手に入らないとのことだった.

ちなみに「人民服」という名称は中国にはなくて,あれは孫文がデザインしたので,「中山服」(中山は孫文の号)というのだそうだ. 人民服を着て道を歩いている人を指さしながら,「毛沢東が着てた服」といって初めて通じた.

ふたごのピータン はコメントを受け付けていません。