鎧袖一触

岩波文庫『日本外史』では

> 至如平清盛輩、臣鎧袖一触、皆自倒耳。

> 平清盛輩の如きに至っては、臣の鎧袖一たび触るれば、皆自ら倒れんのみ。

と訓じている。
しかしまあ、
「臣の鎧の袖ひと触れにて」とも訓んでもよかろうし、
そもそも「触るれば」(已然形)であろうか。
古典文法に則れば「触れば」(未然形)ではないか。
あるいは「一触せば」ではないか。

教育勅語の「一旦緩急あれば」の例もある。

あれ、前も同じこと書いた気がする。
そうだ、[有者](/?p=11451)だ。
万葉集にしろ漢文にしろ已然形と未然形の違いが曖昧で困る。

宣長の歌

> 書読めば昔の人はなかりけりみな今もある我が友にして

これは「書読まば」では少し変だ。
「もし本を読んだら」ではなくて「本を読むと」だからだ。
しかし話は戻るが、
「もし一旦緩急事があったら」とか「もし袖が触れたら」という意味に取るのが自然なわけで、
やはり未然形なんじゃなかろうか。

アマゾンレビュー

夏目漱石の『こころ』って、自分も読んだことあって、
でものすごくたくさんの人がレビューを書いていて、
レビューを書かれやすい本と書かれにくい本があると思うんだけど。

いやー、しかし、まあ、名作であることは間違いない、
少なくとも後世に与えた影響の大きさというのが、名作であるか否かってことだしな。
これほど読まれるのは、文豪とか名作のアイコンになっているから、
誰もがレビューしたくなるんだろうなと思う。

つまり、テレビで紹介された有名店みたいな。それをみんながブログに書くみたいな。
そんなノリっすよね。

まあしかしそんな風になりたいもんだ。

自分的に一番好きな夏目漱石の作品は『坑夫』なんだがな。

巨鐘を撞く者

『巨鐘を撞く者』が週明けくらいに出版されると思う。
業務連絡ですが、すぐには買わないでください
(いきなり買う人は今までいなかったらいないとは思うけど)。
一週間ほどちょこちょこ文章直します。
改版前と後を有料でもいいから読み比べたいという奇特な人は、どうぞ買って下さい。

『巨鐘を撞く者』が原題でパブーでは『大塩平八郎』でいったん後半部分を捨てて前半部分だけ公開してました。
後半部分を書き終えて完結しました。
前よりずっと良くなったと思いますよ。
『将軍家の仲人』に雰囲気は似てるかな。
『将軍家の仲人』は江戸前期くらい。
『巨鐘を撞く者』は江戸後期だわね。
読み比べてみてその雰囲気の違いがきちんと出ていれば成功と言える。

出版直後に無料キャンペーンやる人が多いようですが、私はしばらくしてからやると思います。
大塩平八郎のファンはたくさんいるはず。
私は頼山陽のファンなのだが、普通の人はそうではないと思うので、私ほどはこの小説に入れ込まないんだろうなあと思う。
自分としては一番好きな、とっておきのネタで書いた話。

『超ヒモ理論』というのがずっとブロックされていたのは、おそらく、昔「小説家になろう」というサイトにただで公開してたのを忘れてしまっていたからだった。
ずーっと公開しっぱなしだったということだ。
無料公開の本を有料で出版しようとするとアマゾンから問い合わせがある。
しかし今はあんまり読まないメイルアドレスでアマゾンに登録してたもんだから、
見落としていた。
てっきり『超ヒモ理論』というタイトルが紛らわしいからブロックされたのかと思った。
或いは、たまたまバグかなんかなのかなと。
『超ヒモ理論』が今後出版できないのはとても困る。
なんとかアマゾンに許してもらわないと。
『ブラックジャックによろしく』なんかの無料本も事前にこういう問い合わせがあったんだろうね。

『スース』はpixivに公開しっぱなしだった。ついでに消しといた。

パブリックドメインじゃないし、まして他人の著作物でもありません。正真正銘私のです。
『超ヒモ理論』は。
今回は(たぶん)全部消せたけど、
消せなかったらパブリックドメインと同じ扱いになっちゃうんかな。それは困る。

『紫峰軒』にレビューを書いて下さった人がいて、
kindleの新刊、特に無料キャンペーンのものにはほとんど全部書いているようだ。
ええっと。
レビューはどんどん書いてくださって結構です。
歓迎します。
ネタバレはあっていいです。
たぶん、私の小説は、難しいので、いろんな人に解説していただけると助かります。
「甘酸っぱい思い出」ええ。まあ、確かにそれがメインテーマの話かもしれません。
あまり自分では使わない言い回しですけどね・・・。
一応小説として読んでもらえてるんだなあと思うと安心します。

自分で敢えて言うなら「嫌いだけと好きだった僕たちの戦後昭和へのレクイエム」って感じっすかね。

『墨西綺譚』は無料キャンペーン終わったんですが、今までで一番読んでもらえました。
たぶん私の小説って分量の割に読むの時間かかると思うんで、きっとまだ読み終わってないんじゃないかな。
レビューお待ちしております。

本朝変態葬礼史

中山太郎[本朝変態葬礼史](http://www.aozora.gr.jp/cards/001420/files/50271_47672.html)。
タイトルがぎょっとするがごくまっとうな論説。
神話にみられる習俗や葬(はふり)の語源「放(はふり)」から、古代には埋葬などというものはなくて、
死体をただ山や海に遺棄していたのだろうというのは、たしかにそうに違いない。

> 空葬はまたの名を樹葬と云い、霊柩を高く樹上に吊し行うものである。

> 朝鮮にはこの空葬が現今でも残っていて、疱瘡と痲疹で死んだ子供は空葬にせぬと他に伝染するとて、迷信的にこれを行うている。

空葬なんて初めて知ったわ。

kindle無料ランキングは青空文庫ランキングのようなものであり、
しかもジャンル別になっているから、
普通に青空文庫を眺めていては見いだせないような奇書にたどりつくことができてはなはだ便利である。
アマゾンにとってなんの儲けもない使われ方だろうけど。

木村荘八[両国今昔](http://www.aozora.gr.jp/cards/001312/files/47603_34011.html)

幸田露伴[侠客の種類](http://www.aozora.gr.jp/cards/000051/files/1448_47840.html)

幸田露伴って随筆の方が面白いんじゃね。

この[喜田 貞吉](http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1344.html)
という人もすごいな。

葬(はふり)は放(はふり)であり、祝(はふり)に通じ、屠(ほふり)にも通じるいう。
おそらくそうに違いない。鳥獣や人の肉に関連する仕事なのだ。

> その軍士(いくさびと)を斬(き)り屠(はぶ)りき

古事記崇神

岩波古語辞典によればこれらはもともとハブリと濁って発音されたようである。

うんなり

村井政善[蕎麦の味と食い方問題](http://www.aozora.gr.jp/cards/000312/files/2036_22712.html)。
まあ普通に面白い。
あんま有名な人ではないな。

> 汁の中へ薬味をうんなり入れ込み、

「うんなり」わかんない。たくさんとかそんな意味か。

「花巻」はかけそばに海苔をのっけただけのものらしい。

> 薬味をぽっちりとも使わず

「ぽっちり」。たぶん「うんなり」の対義語なんだろうなあ。