亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

後三条天皇

12.30.2012 · Posted in 和歌

後三条天皇の御製を探しているのだが、なかなか無い。 『新古今集』

みこの宮と申しける時、太宰大弐実政学士にて侍りける、甲斐守にて下り侍りけるに、餞たまはすとて
後三条院御歌
思ひ出でて おなじ空とは 月を見よ ほどは雲居に 巡りあふまで

しかし、これは『拾遺集』の歌にあまりに似ている。

橘の忠幹が、人のむすめにしのびて物言ひ侍りける頃、遠き所にまかり侍るとて、この女のもとに言ひつかはしける
忘るなよ 程は雲ゐに なりぬと も空行く月の めぐり逢ふまで

『伊勢物語』第十一段にも、同様の歌が見える。

むかし、男、東へ行きけるに、友だちどもに道よりいひおこせける
忘るなよ ほどは雲居に なりぬとも 空ゆく月の 巡りあふまで

『読史余論』では、『古事談』に出てくる話として、やはり後三条天皇の御製として

忘れずは おなじ空とは 月を見よ ほどは雲井に 巡りあふまで

とある。 思うに、初出は伊勢物語であろう。 意味も一番素直でわかりやすい。 後三条天皇御製はひねってあってやや意味が通りにくい。

『玉葉集』

御前に菊をおほく植えさせ給へりけるを、弁乳母申しけるをたまはせざりければ、
ほしとのみ 見てややみなむ 雲のうへに さきつらなれる 白菊の花
と申して侍りければ、後三条院
色々に うつろふ菊を 雲の上の ほしとはいはで 人のいふらむ

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