歌学概論

源俊頼とか六条清輔とか藤原定家とか後鳥羽院とか本居宣長とか香川景樹とか萩原朔太郎とか正岡子規とか丸谷才一とかいろんな人の歌論を読んでいるのだが、
こんな風に中世から現代までの和歌を論じたもの、
和歌概論とでもいうか、
そういうものを書いたり研究したりした人はいるのだろうか。
もちろん戦前にはいた。
佐佐木信綱とか。
萩原朔太郎も優れた「研究者」だった。
正岡子規はたぶんあまり和歌のことはわかってない。

現代でも、たとえば京極派の研究では岩佐美代子が傑出している。
藤原公任や源俊頼、六条清輔あたりを重点的に研究している人はいる。
テーマを絞れば優れた研究はいくらでもあるが、通史というか概論というのがどうもない。
いや、あると言えばある。万葉集があり、古今集があり、新古今があって、応仁の乱で勅撰集は断絶したとか。
百人一首があって、近代短歌や現代短歌がある、というような概論ならある。
私が言いたいのはそういうことではない。
わかりやすい対立軸で言えば香川景樹の歌論に対して正岡子規はどのように反駁し、
その両者の意見のどちらがどんな風に優れているかどうか、などという議論。
賀茂真淵や田安宗武の歌論に対して丸谷才一がいろいろ批判しているが、それはどうなのかとか。
本居宣長と上田秋成の論争は有名なので良く研究されているようだ。
そういうわかりやすいものもあるが、歌論の比較というのはそういう明確に論争になったものばかりではない。
たとえば本居宣長の歌論について小林秀雄はどうしたこうしたとか。

おそらく今の世の中そんな議論はまったくなされていない。
丸谷才一は孤独だっただろうと思う。
論争する相手が過去にしかいなかったから。

じゃあ自分が書けば良いのだろうか、たとえば「歌学概論」というような本を(笑)
理系の人が間違って買ってしまいそうだな。

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