神鹿、死刑

昔、神鹿を殺すと死刑になった、といわれているのだが、ちょっと信じられない。
常識的に考えて、あり得ないことだ。

信長が神鹿を殺した者を密告させて、処刑したという記録があるそうだ。
しかしこれはおそらく、奈良の鹿を組織的に密猟した者がいて、処罰したという意味であろう。
たまたま過失で鹿を殺してしまって、それでただちに死刑になるはずがない。

だいたい誰が死刑を執行するのだろうか。
春日大社の宮司?
そんなはずはない。
東大寺か興福寺の僧兵?まさか。

江戸時代の奈良奉行や京都所司代、あるいは寺社奉行ならば幕臣だが、
幕府の役人が鹿を殺した程度で人民を処刑するはずがない。
鎌倉時代の北条氏、室町幕府ですらそんなことをするとはとうてい思えない。

鹿の密猟というのは寺社領でなくともよくあったことだろう。
その首謀者は、場合によっては死刑になることもあっただろう。

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