ファウスト

ファウストは私も一部訳したのだった。

> 太陽は懐かしいメロディーで

Die Sonne tönt, nach alter Weise, 太陽は鳴り響く、太古からのやり方で、

> 兄弟の星々と歌を奏で合い、

In Brudersphären Wettgesang, 兄弟星らと歌を競いながら、

> 規定の道を

Und ihre vorgeschriebne Reise あらかじめ定められた旅路を

> 雷鳴の轟きで染め上げる

Vollendet sie mit Donnergang. 雷鳴をとどろかせながら邁進する。

> 理由はわからないが

Ihr Anblick gibt den Engeln Stärke, その眺望は天使に力を与える。

> その景色は天使を力強くする。

Wenn keiner sie ergründen mag; 誰も彼を究明できないとしても、

> 不可知の気高い営みは

die unbegreiflich hohen Werke その認識しがたい高尚な作品は

> 天地創造の日と同様に素晴らしい

Sind herrlich wie am ersten Tag. その原初の日から素晴らしい。

すごい韻文だよなあ。
Wettgesang、Donnergang、ergründen mag、am ersten Tag
が韻を踏んでおり、
Weise、Reise、Stärke、Werkeが韻を踏んでいる。

nach alter Weise は「懐かしいメロディーで」と「太古からのやり方で」。
うーむ。Weise は普通「やり方」「方法」だが、
確かに音楽用語として「メロディー」という意味もある。
alt を「懐かしい」と訳してしまうのはどうだろうか。
おそらくこれは後から出てくる am ersten Tag と関連して、
単に古いとか昔のという意味ではないか。
tönen は「鳴る」だが、次の行を見れば歌を歌うことを言うのは明らかだ。

Wette はお金を賭けて競うこと、英語の bet に同じ。
Wettgesang は歌のうまさをお金を賭けて競う、という意味。

「歌を奏で合い」うーむ。どうだろう。歌は奏でるものだろうか?

vollenden は完成させる、である。
「邁進する」は意訳。
「染め上げる」はどうだろうか。
直訳すれば「雷鳴によって完成させる」
少し意訳すると「雷鳴で敷き詰める」かなあ。
もとのままでいいかな。

まあ、ファウストはいろんな人が訳しているからなあ。

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