大義名分論

昔の人は大義名分論というものに、真剣に悩んだのだ。

天皇はなぜあんなにまずい政治をするのか。
逆賊と思える身分の低い連中がなぜあんなに良い政治をするのか。
良い政治をする逆臣と、悪い政治をする天皇と、どちらが正しいのか。
そもそも天皇とは何か。日本とは何か。
なぜ逆臣は結局皇位を簒奪しなかったのか。
なぜ日本だけでそうなのか。
ということについて真剣に悩んだ。
そこで儒学や宋学や朱子学や陽明学や、あるいは国学で説明しようとした。
それでもわからん。
西洋の歴史との比較でなんとか説明しようとした。
たとえばイギリス型の君主とかローマ法王とか。
でもうまくいかない。

今の日本史教育ではそんなことで悩むなどということはないだろう。
世界史でもそうだが。

ある意味、そういう問題をスルーするのに適した思想は司馬史観だといえる。
天皇はお公家さんです、神主さんです、実権を持たないのが正常な姿です。
象徴天皇です。
みごとなスルーだわな。
一方で、天皇制廃止論者もいるのだが、どちらかより無責任だろうか。
大差ないような気もする。

身分の低い苦労人ほど良い政治をする。
天皇の政治は失敗だらけだった。
でもなぜ日本には天皇がいるのか。
誰か説明してみよ。
今の日本人は、生まれてから大学受験まで、そのような思考実験をしたことがない。

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