学問歌

宗尊親王

> 浜千鳥 昔のあとを たづねても なほ道知らぬ 和歌の浦波

後水尾院

> まもれなほ よに住吉の 神ならば 此の敷島の 道のまことを

後水尾院

> 絶えせじな その神世より 人の世に うけてただしき 敷島の道

後水尾院

> 開きみる 文にぞしるき をさまれる 御代のかたみや 世々の古こと

後水尾院

> ひらけなほ 文の道こそ 古へに かへらん跡は 今はのこらめ

後水尾院

> ともかくも なさば成りなむ 心もて 此身ひとつを なげくおろかさ

後水尾院

> 散りうせぬ ためしときけば ふるき世に かへるを松の ことのはの道

田中久三

> おほかたの 野辺のちぐさは 枯れぬとも 絶えせぬものは やまとことの葉

寄塵述懐
宣長

> 思ひたつ ことはたゆまじ ちりひぢも 積もれば山の かひもある世に

井上文雄

> 言霊の さきはふ道を いたづらに 遊びのわざと 人は言ふなり

景樹

> 年越して けふはとたゆむ ねぶりこそ まづをこたりの はじめなりけれ

景樹

> しづのをが うつや荒田の あらためて 作るにはあらず かへす道なり

松井幸隆

> しきしまの 道の願ひよ まづかなへ 我が思ふことは あまたあれども

磯野丹波守政武

> ともすれば 人のうへのみ うらやみて 身をかへりみぬ 心おろかさ

呪願法師

> かかげぬる かひこそなけれ ともしびの もとより暗き 窓のまなびに

あべ遂庸

> 世にはなほ 立ちものぼらで 瓦屋の けぶりも下に くゆる身ぞ憂き

柘植知清

> 人はその 名をこそ惜しめ こと足らで わたる世なげく 身ぞおろかなる

宣長

> 言の葉の 移りも行くか 世々にふる 人の心や しぐれなるらむ

宣長

> 書読めば 昔の人は なかりけり みな今もある 我が友にして

宣長

> 書読めば 絶えて寂しき ことぞなき 人も問ひ来ず 酒も飲まねど

宣長

> 書読めば おほやけ腹も 立たれけり ひとり笑ひも またせられけり

宣長

> 書読まで なににつれづれ なぐさまむ 春雨の頃 秋の長き夜

宣長

> 朝夕に 物食ふほども かたはらに ひろげおきてぞ 書はよむべき

宣長

> おもしろき 書読むときは 寝ることも もの食ふことも げに忘れけり

宣長

> 読む書に 心移れば 世の中の 憂きもつらきも しばし忘れつ

宣長

> 読む書を しばし枕に 仮り寝して 憂しや覚えず あかつきの空

宣長

> をりをりに 遊ぶいとまは ある人の いとまなしとて 書よまぬかな

宣長

> 読まねども やまともろこし もろもろの 書を集めて おくも楽しみ

宣長

> 敷島の 道広き世の 初春や 言葉の花の ときは来にけり

蘆庵

> 何をかは あぜくらかへし 求むらむ 見聞きにみてる 言の葉の種

蘆庵

> いにしへは おほねはじかみ にらなすび ひるほし瓜も 歌にこそ詠め

蘆庵

> この国は 言葉の海の 大八島 いづくに寄るも 和歌の浦波

蘆庵

> 言ふことは みな心より 出でながら 心を言はむ 言の葉ぞなき

蘆庵

> 言の葉は 人の心の 声なれば 思ひをのぶる ほかなかりけり

蘆庵

> 世の塵に うづもれながら うづもれぬ 大和言葉の 道ぞ正しき

宣長

> いかならむ うひ山ぶみの あさごろも 浅きすそ野の しるべばかりも

景樹

> 思ふこと いはでかなはず それいへば やがても歌の すがたなりけり

景樹

> 身は疲る 道はた遠し いかにして 山のあなたの 花は見るべき

景樹

> 敷島の 歌のあらす田 荒れにけり あらすきかへせ 歌のあらす田

内山真弓

> 君なくば またや荒れなむ いにしへに すきかへしたる 歌の荒栖田

景樹

> 言の葉の 道の奥なる 安積山 影だに見ずて やみぬべきかな

田中久三

> しらぬひの 筑紫島ねの 山の湯の 湧き捨つるまで 歌を詠まばや

島津忠良

> いにしへの 道を聞きても 唱へても 我が行ひに せずばかひなし

島津忠良

> はかなくも あすの命を たのむかな 今日も今日もと 学びをばせで

島津忠良

> 学問は あしたの潮の ひるまにも なみのよるこそ なほしづかなれ

二宮金次郎
田中久三

> 菜の花の 咲けるをりには 思ひやれ 身を立て世をも 救ひし人を

吉田松陰

> 何事も ならぬといふは なきものを ならぬといふは なさぬなりけり

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