氷川清話もじっくり読むとなかなか面白い。勝海舟も面白いが、江藤淳の意気込みがまたすごい。
> 全体大きな人物といふものは、そんなに早く顕れるものではないヨ。通例は百年の後だ。今一層大きな人物になると、二百年か三百年の後だ。それも顕れるといつたところで、今のやうに自叙伝の力や、何かによって顕れるのではない。二、三百年も経つと、ちやうどそのくらゐ大きい人物が、再び出るぢや。其奴が後先の事を考へて見て居るうちに、二、三百年も前に、ちやうど自分の意見と同じ意見を持つて居た人を見出すぢや。そこで其奴が驚いて、成程えらい人間が居たな。二、三百年も前に、今、自分が抱いて居る意見と、同じ意見を抱いて居たな、これは感心な人物だと、騒ぎ出すやうになつて、それで世に知れて来るのだヨ。知己を千載の下に待つといふのは、この事サ。
今の人間はどうだ、そんな奴は、一人も居るまいがノ。今の事は今知れて、今の人に誉められなくては、承知しないといふ尻の孔の小さい奴ばかりだらう。
…
まったくそのとおりだヨ(笑)。中途半端に有名になって、数十年で忘れられるくらいならば、あくせくせず自分の好き勝手やった方がましだろう。
白南準は「芸術家には誰でもなれる」と言ったが、誰もが白南準になれるわけではないのだがノー。