橘曙覧

水島直文・橋本政宣編注「橘曙覧全歌集」を読む。 わりとおもしろい。
冒頭に載っている歌:

あるじはと 人もし問はば 軒の松 あらしといひて 吹きかへしてよ

「嵐」と「あらじ」をかけている。愉快な歌。

朝ぎよめのついでに
かきよせて 拾ふもうれし 世の中の 塵はまじらぬ 庭の松の葉

道元の山居の影響を感じるよね。
同じ福井の山の中だし。

閑居雪
なかなかに ふり捨てられて うれしきは 柴の網戸を あけがたの雪

これも、「戸を開け」ると「明け方」をかけている。おもしろいなあ。

あばらなる やどはやどにて すみわたる 月は我にも さもにたるかな

「あばら」というのは歌にはあまり使われない言葉なのではないか。
全体にくだけた口語調に見える。

述懐
なかなかに 思へばやすき 身なりけり 世に拾はれぬ みねの落ち栗

いいなあ。この屈折した感じが。