宝島

宝島を読む。
最初の数頁を我慢すればなかなか面白い読物だ。
project gutenberg から英文のテキストを拾ってきて、合わせて読む。以下和訳は岩波文庫版。

Squire Trelawney 郷士のトレローニさん

Dr. Livesey リブシー先生

Admiral Benbow ベンボー提督

Fifteen men on the dead man’s chest —
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!
Drink and the devil had done for the rest–
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!

>亡者の箱まで這い登ったる十五人、

> 一杯飲もうぞ、ヨーホーホー。

>後の残りは酒と悪魔にやられたよ、

>一杯飲もうぞ、ヨーホーホー。

Bristol ブリストル

Captain Flint
フリント船長

Captain Kid
キッド船長

Captain Smollett
スモレット船長

John Silver
ジョン・シルバー

Jim Hawkins
ジム・ホーキンズ

Billy Bones
ビリー・ボーンズ

Ben Gunn
ベン・ガン

I haven’t spoke with a Christian these three years.
もう三年、人間ちゅうもんと話をしたことがねえ。

marooned
島流しになる。

clove hitch
どん詰まり。徳利結び。

Jolly Roger
海賊旗

flag of truce
休戦旗

desertion
脱船、遺棄、放棄、脱走、逃亡

black spot
黒丸。船長不信任状のこと。

parole
仮釈放

「宝島」(Treasure Island) の原題は Sea Cook だったそうだ。 Sea Cook というのはつまり John Silver のことなのだった。どっちがいいのか良くわからないのだが、もし Sea Cook だったら「宝島社」すら存在しなかっただろう。そう言えば Hawkins というサンダルメーカがあるが、これはやはり Jim Hawkins にちなむのだろうか。

「李陵」は作者の遺稿で、題名も決まっていなかったので、無難に「李陵」としたのだというが、「漠北悲歌」というのがほんとの題だったという説が有力だそうだ。つまり漢に帰る蘇武に、李陵が贈った詩のことなのだが、まあそれもふさわしくはあるが、少し sentimental 過ぎるかも。

姐御怪獣アネゴン(笑)。

中島敦全集

ちくま文庫の「中島敦全集」全三冊,これは本物の全集である.
書簡や日記までありとあらゆる著作が収められている.
これの二冊目の解説を群ようこが書いているのだが,これが笑える.
どうしてこの人は子供のときに考えたことや感じたことをこんな詳しく覚えているのだろうか.
この人の著作の大半は,子供の頃の思いでばなしだ.
そういう意味では西原理恵子に似ていなくもない.
というか,よく雑誌で対談してるなこの二人は.

>・・・だから私たちの間では,中島敦という作家は「とっても難しい中国の話を書いて,若くして亡くなった,眼鏡をかけた人」で終わってしまったのである.
・・・これではいかんと,私は昨年,ちくま日本文学全集に収録されている,中島敦の本を読んだ.
そこで初めて,彼が「マリヤン」「鶏」といった,南の島の物語を書いているのを知った.
「山月記」の印象が強かった私は,その内容の違いにびっくりした.
ほのぼのとしていて,ユーモラスで,これが「山月記」を書いたのと,同じ人が書いたとは思えなかったからだ.

いやはや,まったく率直で的確なご意見.
国語の教科書はなぜか中島敦といえば「李陵」「山月記」「弟子」「名人伝」のどれかしか採らない.
また,中島敦の文庫本で,「マリアン」などの南国譚を併せて載せてるものは少ない.
従ってわれわれは子供の頃「中嶋敦 == 漢文調の難しい小説」という先入観を植え付けられてしまうのだ.

> やっと私も「山月記」を読んで,じーんとできるような歳になったのかと,しみじみとした.
彼は私の想像以上に,いろいろな種類の作品を書いている.
先入観は恐ろしい.
それは読書するチャンスを奪う.
私は四十歳近くになって,やっと中島敦を読む機会を得たわけだけれど,今まで読んでいなかったことを後悔し,そしてこれから新参者として,彼の作品を読むのが,とても楽しみになってきたのである.

ぎゃははは.そのとおり.さあみんなも中島敦を読もう!

「牛人」というのは,同じネタで宮城沢昌光も書いている.読み比べると面白いかも.