俳諧歌

一休

> 餅つかず しめかざりせず 松たてず かかる家にも 正月は来つ

生白庵行風

> ともすれば 花の顔さへ 打ちちらす 風の手ぐせを 直してしがな

生白庵行風

> 野にたてる 夜風ひきてや 撫子の はなたれたりと 見ゆる朝露

木下長嘯子

> 人ごとに 腰折れ歌を 詠みおきて あたら桜を 杖にこそつけ

面壁の達磨
景樹

> あまりにも 背きそむきて 世の中の 月と花とに またむかひけり

林子平

> 親も無く 妻無く子無く 版木無し 金も無けれど 死にたくも無し

大田南畝

> 秋の田の かりほの庵の 歌がるた とりぞこなつて 雪は降りつつ

宿屋飯盛

> 歌よみは 下手こそよけれ あめつちの 動き出だして たまるものかは

秋成

> よひよひに 垣もる犬に おどされて にくくもいもを 思ひこそなれ

五代目市川団十郎

> たのしみは 春の桜に 秋の月 夫婦仲良く 三度食う飯

景樹

> 山賤も うまき昼寝の 時ならし 瓜はむからす 追ふ人もなし

景樹

> 照る月に 夏を忘れし 木の間より おどろかしける 蝉の一声

蘆庵

> あなさびし たぬ鼓打て 琴ひかむ 我れ琴ひかば たぬ鼓打て

橘曙覧

> あるじはと 人もし問はば 軒の松 あらしと言ひて 吹きかへしてよ

橘曙覧

> 夕けぶり 今日はけふのみ 立てておけ 明日のたきぎは あす採りて来む

朱楽菅江

> いつ見ても さてお若いと 口々に ほめそやさるる 年ぞくやしき

大田南畝

> 世の中に 蚊ほどうるさき ものはなし 文武といひて 夜もねられず

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