道の上 車の上と わかたずに ふりしく花に みなおほはれつ
花にのみ 馴れにし目には もろもろの 木々の若芽も うれしかりけり
月: 1986年4月
詠草
なつかしき かほもみまほし 過ぎし日に 見てしおもかげ おぼろなるゆゑ
野のつたの 軒の網戸に 伸びたるが 窓を開くれば ほとけ落ちたり
夏の間に かび覆ひたる 皮バンド 針のめぐりは 狂はざれども
くちぶえの うそぶかれけり ほほづゑを つきてつくゑに むかひゐたれば
ひとのめに いかにうつりて あるわれぞ われひとりのみ あらじとおもふに