ミスターマガジン休刊

なんとミスターマガジン休刊!そ,そそそれでなのか.それで「王道の狗」も最終話だったのか.それで「天切り松闇がたり」も最終話なのか.「突破者太陽傳」も面白かったのに終わるのか.「ドーラク弁護士」も「ERET」も終わってしまうのか.ああなんていうことだろう.

なんてひどい話だ.ミスターマガジンだけは欠かさず買ってたのに.主に「王道の狗」を読むためだったけど.モーニングは買わなくてもミスターマガジンだけは買っていたのに.ひどいっ.しかし,「王道の狗」の最終回があまり不自然でなかったのは救いだ.それほど唐突さを感じなかったのも救いだ.もしかすると,編集部は「王道の狗」の最終話まではとがんばったのかもしれない.それでも,話を多少はしょることはあったかもしれんな.こんなにクオリティの高い雑誌を休刊するなんて.もっとくだらない低俗な雑誌はいくらでもあるというのに.ひどいひどいひどすぎる.そもそもそんな雑誌を一番楽しみにしてた私の立場はどうなる.

中島敦

「宝島」を借りてきた.あまり面白そうではない.

世間一般では中島敦というものをひどく誤解しているというか,深く理解していないというか,あるいは深く広く理解させようという努力が足りてないというか,そんな気がする.
「文字禍」には,病床にふせる作家とそれを取り巻く妻や父母の姿が,前世がエジプト人であったペルシャの兵士に投影されているように思われるし,「巡査の居る風景」は,作者が京城中学校二年生の冬に見たソウルの町の,言うに言われぬ痛ましい光景,また,おそらく自分自身が深く考えもせず差別した朝鮮人達の記憶,自己嫌悪,などが描かれているのだと思う.
中島敦は漢学者の家系に生まれ,父が朝鮮ソウルの中学校教諭に赴任したために,小学生高学年から中学生の間ソウルに住んでいたのである.
「巡査の居る風景」の舞台は 1923 年のソウル,これを,朝鮮総督を暗殺しようとして失敗した朝鮮人を逮捕した巡査の目で描写している.
この巡査もまた朝鮮人である.
この巡査に生意気な口をきく日本人中学生というのが登場するのだが,これは中島本人だったのではないか.
私はこれほど生々しく戦前の植民地下のソウルを描写した小説を知らない.

光と風と夢

「光と風と夢」これはもとは「ツシタラの死 — 五河荘日記抄」という名前だったのだが,編集者に言いくるめられてわけのわからない名前に変えたのだそうだ.中島敦も当時駆け出し作家で,強情が張れなかったのか,かわいそうなことだ.「光と風と夢」じゃあまるで少女漫画か西部劇か.中島にしては珍しく長編で,タイトルがわけわからず,また冒頭も実に退屈だから,誰もが読むのは後回しにするのではないか.しかし,中島の作品の中では一番作家の「地」が出た,面白い作品だ.「李陵」「山月記」などは,ちょっときどった娯楽短編に思えてしまう.そういうふつうの中島敦体験を一通り済ませてから読むのも良い.

「ツシタラ」というのはサモア語で「物語作家」というような意味らしい.スティーブンソンというイギリスの作家がいる.代表作は「宝島」という冒険小説と「ジキル博士とハイド氏」,そういわれれば誰でもわかるに違いない.彼は大変有名になったのだが,体が弱いたちで,熱帯以外では喀血してしまうので,サモアに移りすむことにした.で,そのすむところに五つの川が流れているので,「五河荘」.スティーブンソンの日記と,中島敦のナレーションが交互に繰り返されるという斬新な構成.オリジナルの日記が実在するのか,中島の創作なのかは不明.最初は実にのんびりとした南の島の描写が続くが,次第にきな臭い話に発展する.当時サモアには王が君臨していたが,ドイツ,イギリス,アメリカの三国の勢力が手を伸ばしてきており,その中でも植民地後発のドイツが露骨な砲艦外交で干渉をしてくる.イギリスとアメリカが反発し,サモアはドイツが支持する傀儡王政府と,英米が支援する反乱軍の戦争に発展,三国の艦隊があわや会戦というところで,台風が襲来し,ほとんどすべての戦艦が沈没してしまう.スティーブンソンは政治嫌いながらも,白人の圧制に反発し,土人の王や副王,ドイツの裁判官などの間でさまざまな調停役を買って出る.で,なんだかんだがあったあと,かの地でスティーブンソンは死去し,山の頂上に土人らによって手厚く葬られる.というストーリーなのである.簡単に言えばサモアにスティーブンソンが来てから死ぬまでの日記風の話なので,「ツシタラの死 — 五河荘日記抄」というわけだ.

日本の南洋の委任統治領はもともとドイツ領で,第一次大戦で日本が火事場泥棒的に奪い取った.中島は南洋庁役人としてパラオに療養をかねて赴任する.中島はスティーブンソンと同じ喘息持ちの作家なのである.結核は当時 fatal な病であった.事実彼は一時帰国後まもなく死んでしまう.世は日中戦争,日独伊三国同盟の殺伐たる時代.新たな世界大戦の到来を感じつつ,自分の境遇をスティーブンソンに重ねて,白人,土人,植民地,帝国主義やら,また,日本や自分自身がこれからどのように行動すべきかということを考え,それを訴えたかったのに違いない.わたし的には非常に面白い.「パパラギ」よりももっと広く,少なくとも日本人には知られて良い作品だと思う.大東亜戦争前夜,日本人は国際感覚が麻痺していたととかく考えられがちだが(司馬史観と言うこともあるようだが),そんなことはなく,中島のような正常な物の見方をする人たちも少なからず居たのだろう.

中島敦はともかく非常に面白い.全集を熟読してみたい.「ツシタラの死」は芥川賞候補となり,選考委員の川端康成ただ一人が絶賛したという.誰か他に受賞者が居たのではなく,「該当者なし」で落とされたのだ!確かにこの作品は非常に新しくかつ変則的で,ふつうの日本の純文学とはかけはなれている.直木賞にもなりにくいかも.「李陵」が長編小説だったら,中島はやすやすと芥川賞を取ったかもしれない.しかし,中島は自分の書きたいことを自由に書きたかったのだ.

「まんだら屋良太」の中で,円生はつまらん,談志は最悪,林家三平は落語が文学的芸術的に堕落していくのをくい止めた最高功労者,という話が出てきた.これは作者の畑中純の見解だろうか.私は円生が一番面白いと思うが.談志は…ようわからん.

ゲーム企画

アメリカではホラー系やスポーツ系のゲームが盛んで,
日本に先行して発売されたものが,
数ヶ月遅れで日本にもやってくるようだ.

いくつかゲームのアイディアを考えた.

ギャルゲッチュー

地球ときわめて酷似した環境下の惑星に,
地球人ときわめて近い家畜生物が生息していた.
地球人はこの惑星に植民地を建設し,
原住民をつぎつぎと捕獲,牧場で飼育,(以下自粛).

満鉄でGO!

遼東半島に 150 年間の租借権を獲得した日本は,
大連を出発点として,五族協和を謳い,大陸経営に乗り出していく.
最終目的地はレニングラード.
食堂車のコックはロシア人で,
マイクに向かって「ボルシチ」と注文すると,
「ハラショー」と答える….

本願寺の野望

室町幕府の圧制と戦国武将の横暴に耐えかねた一向宗が念仏のもとに一致団結,
織田信長軍との三十年戦争についに勝利し,
一挙に全国統一を達成.
日本に浄土真宗を国教とする共和政府を樹立する.
さらに世界同胞を解放するために,
朝鮮,満州,蒙古,南蛮へと進出していく….

奴隷万歳

アメリカ南北戦争の緒戦から名将リー将軍を投入し,
北軍を次々に破って勝利した南軍は,
奴隷制度を合法化し,
安価な奴隷労働力によって資本の原始蓄積を早期に実現,
奴隷貿易によってますます栄えていく.
奴隷軍を編成して世界征服に乗り出し,
アフリカに植民地を,
中南米に準州を建設し,巨大プランテーションを経営しつつ,
フィリピンを拠点としてアジア,オーストラリアを侵略していく….

スペースパラダイスチャンネル69

とりあえずタイトルだけ考えてみました….