フランスでは公務員が派手なストライキを打っていたので,これは面白い見ものだと思ってたら,いつの間にか終わってしまったらしい.日経あたりにまとまったサマリーが載るかなと思ってたら待てど暮らせど (笑) 出てこないので,自分でまとめることにした.
日本のマスコミもおかしなもんで,「交通機関がマヒしたパリ市」みたいな記事は写真入りで報道するくせに,「ストが収束した理由」とか「経過のまとめと考察」とか「公務員のストの是非」とかそういう肝心なことについてフォローがないのはけしからんではないか.と,怒っているのは私だけなのか…ぶつぶつ.
◆ 発端 ◆
11月半ばにジュペ首相が社会保障改革法案を発表. EU統合をひかえて,財政を圧迫している福祉を切捨てるのが目的.
◆ 主役は国鉄 ◆
ストは国鉄から始まり,大都市の地下鉄,バス,電力,郵便に拡大. 12月4日には消防署,病院,税関,公立学校,国有銀行,保険会社なども参加して警察などの例外を除いてほとんどの公務員がストに参加し,大騒ぎになった.またフランス全土で学生・民間労働者を含む大規模デモが発生.民間企業にもスト参加を呼びかける.多大の不便を強いられているにもかかわらず,世論調査では国民の2/3がストを支持しているっていうんだから恐れ入るなぁ.「国鉄スト」というと私には嫌悪感しかないんだが.
◆ 深刻化 ◆
シャルル・ドゴール空港では管制塔がスト.ガソリン・スタンドではガソリン売り切れ.スーパーでは買い占め.デモのため中央銀行封鎖.エールフランスなど航空会社ストに突入.国内便,国際便とも混乱.などなど.
◆ 政府の譲歩とスト終結見通し ◆
11日政府労組間の協議開始. 12日ジュペ首相は国鉄職員に対する退職年金支給時期繰上げ等を盛り込んだ国鉄改革案を全面凍結.労組は社会保障制度全体の撤回を求めるが, 15日国鉄職員の過半数がスト中止を支持.スト終結への見通しが出る.
◆ というわけで ◆
さまざまな後遺症は残しつつ,結局ストは収まり,ジュペ首相は国鉄改革を棚上げにしただけで,社会保障改革全体は守り抜いた形になった.国鉄は,率先してストを始めたからか,或いは「抜け駆け」というべきか,政府に自分の要求を入れさせることができたが,追随した他の公共機関はなんのためにストやらかしたのかわけわからんというところか.また,いろいろ批判されてはいるが,ジュペ首相は難局をうまくさばいたというので株を上げたのではないか.
しかし,フランスで国鉄民営化なんてやろうとしたらどんな大混乱になるのかねぇ.