月別アーカイブ: 2020年12月

華冑会。三島由紀夫について

私は三島由紀夫の著作をすべて読んだわけでもなくまたこれから読破してみようという気力もおそらくないのだが、今のところのざっくりとした予想を書いてみようと思う。 三島由紀夫の家系というのは平民出身の官僚だ。彼の父、平岡梓は開成中学から旧制一高、東大法学部に進んでいる。平民に与えられたごく普通のエリートコースだ。しかし三島由紀夫はなぜか学習院から東大へ行く道をとった。 彼の最初の長編『盗賊』は副題に「華冑会の一挿話」とあるが、つまり華族社会のことを彼は書きたかったのである。彼は官僚の息子だし学習院にいたから、平民の中でももっとも華族階級に近いところにいて彼らを観察しえた。そのいわば、上流階級のスキャンダラスな暴露話を書きたくて仕方なかったらしい。 この『盗賊』は川端康成に絶賛されたらしいがほとんど反響がなかった。実際長くて退屈な話である。三島由紀夫にとってはしかしこの長く退屈な話を書く必要があったしこの体裁でなければ華族のアンニュイな暮らしは表現できないのだ。またそこを川端康成は高く評価したが同時に世間に受け入れられなさそうなことを惜しみもしたのだろう。 私は、『仮面の告白』ではなくこの『盗賊』にこそ、三島由紀夫のすべてのエッセンスがすでに内包されていると思う。 『仮面の告白』は自分自身を描いた私小説と言える。当時としてはセンセーショナルな内容だったから、たちまち世間に認知されるに至った… 続きを読む »

馬鹿騒ぎ

コロナに限ったことでなくマスクはしないよりはしたほうが良いに決まってるし、遠隔で仕事ができることはしたほうが良いし、通勤電車の混雑なんてものは首都移転でもやってさっさと解消すべきだし、年寄りは風邪引かないように冬は家でじっとしてるべきだし、居酒屋は空いてて広いほうが快適だし、どれもこれも別に全然コロナに限ったことじゃないし、コロナが無くなった後も多分そういう習慣は社会に根付いたまま残るに違いない。 コロナはもはや去年のコロナではない。少しずつ変異しているから。まさに「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。」だよ。 今回のこのコロナの馬鹿騒ぎも、人間はプラシーボがなければ生きていけない、もしくは、プラシーボはほんとの薬と同じくらいの効果がある、ことを証明しただけだ。

鯉の餌

audible なんだが、結局、1ヶ月に1冊1500円で audio book を買う、という仕組みなのだが、定価で買えば 3000円とか 4000円するけど欲しい audio book があれば数ヶ月は契約しておいてコツコツ買うのがお得、というサービスなのだと思う。 実を言えば数冊くらいは欲しいのがあるんで、一応契約は続行しようかと思っている。 最近やっと私は気づいたのだが、自分が読んで面白い本、つまり自分に読ませるために書いた本と、人に読ませて売る本とは、自分が食べて旨い料理と、池の鯉にやる餌くらいの違いがある。私が蒔いた餌を鯉が食って旨いかどうかなんてことは考える意味すらない。鯉が食うか食わないか以上のことを考えても無駄だ。ペディグリーチャムやチャウチュールを作っている人が、犬や猫がほんとに旨いと思ってるかなんて考えてるわけがない。ただペットが喜んで食えばそれでよいのだ。飼い主が金を払う気になればそれで良いのだ。 もしものを作って売りたければ自分で食べたいものを作ってはならない。鯉が良く食べるものを作らなくてはならない。当たり前のことだ。気づかなかったわけではないが、まさかほんとうにそうだとは思えなかったのだ。でも今では完全に理解した。しかも、自分が書きたい本、自分で読んで面白い本はもうほぼ書き終えた。これらの本が埋もれるのは惜しいから、売れる本を書いて、そのついでに私がほん… 続きを読む »

audible

いちいち本を読んでいる暇がないので amazon の audible というのを試してみたが、要するにこれは、月額1500円払って1冊、朗読本が読めるだけ、ということではないか。 さすがにこれじゃどうにもならない。たぶん無料期間のうちに解約すると思う。 youtube で english audio book with subtitles で検索すればそれっぽいのはいくらでも出てくるからそれを聞けばよかろう。