「ムッソリーニ」という映画を借りる.
イタリア映画的美しさがある.
しゃべってるのは例によって英語だが.
これ見てると,ムッソリーニって,それほど邪悪な政治家ではない.
と思えてくる.
イタリアという,類まれに自由奔放な国で.
個人主義的な国で.
怠惰で.退廃的で.
政治的にはぐちゃぐちゃで.
そんな国で 1922 年に 39 才で首相になった,ムッソリーニというおっさん.
これだけでも他の独裁者,たとえば,スターリン,
ヒットラーなどとは性格的に違うものになって当然だと思える.
汽車を時間どおりに走らせようとしたり,
密造酒を取り締まったり,
昼寝をやめさせようとしたり.
すっかり堕落した古代ローマ人の末裔を勤勉な民族に変えようと思えば,
多少手荒な手段は必要だっただろう.
でもラテン人をピューリタンのような勤勉な民族に作り変え,
イタリアを第 2 のローマ帝国にしたてあげる,というのは,
もともと無理があったような気はする.
ドイツという,がんらい謹厳実直な気風の国に,
ファシズムが台頭し,
ヒットラーという精神的にいびつな人間が指導者となったのは,
イタリアにとって不幸なことだっただろう.
ヒットラーはムッソリーニにすりよってきた.
ヒットラー政権.ムッソリーニに遅れること 11 年.
ヒットラーはムッソリーニを尊敬していたが,
ムッソリーニはヒットラーを気にいらなかったようだ.
結果的にイタリアはドイツと同盟し,
日本も調子にのって同盟してしまった.
うーむ.なんという不幸だろうか.