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山居

「釣月耕雲慕古風」に関しては [961208](/?p=1509), [000306](/?p=1497) などで考察して来たのだが,インターネットもずいぶん広くなったようで, 明確な出典が見つかった. 道元の漢詩だった. 思ったよりも古くて大物だったな. 山居(さんご) 西来祖道我伝東 西来の祖道我東に伝ふ 釣月耕雲慕古風 釣月耕雲古風を慕ふ 世俗紅塵飛不到 世俗の紅塵飛べども到らず 深山雪夜草菴中 深山雪夜草菴のうち 道元というひと,それからこの漢詩の前後の文脈から,だいぶはっきりしたことがわかる. おそらく「釣月耕雲」というのは,後世の人間どもがこねくりまわした「禅問答」じみた意味ではなくて,俗世間を離れた山奥の静かで質素な勤労生活のことを言っているのだと思う. つまりこの四行の詩は全体に非常に具体的で単純明快なことを言っているのであって,「釣月耕雲」の部分だけになにか深淵な謎がかけられているとは考えにくい. 「耕雲」というのはつまり雲が眼下に広がってるような高原の畑を耕している光景が思い浮かぶし,「釣月」というのは夜水面に映った月に釣り糸をたれているような感じがある. しかし,禅宗とか道元というのはかなり保守的な仏教のように思うので,魚を釣って食べたというのは少し考え難い. ここに疑問が残る. が,しかし,鎌倉仏教というものは,肉食はしなくとも川魚くらいは食べたかもしれん.… 続きを読む »

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