月別アーカイブ: 2020年10月

鬼平犯科帳

別に『鬼平犯科帳』の悪口を言いたいわけではないが、あれは結局、江戸時代を舞台に今の刑事ドラマを作り替えただけのものであり、だから一般受けするのだ。 元は同じで、そのアレンジ次第で時代劇にもなり、『相棒』にもなる。ただそれだけのことだ。結局人はいろんなものを見ているようでごく狭い限られたものを見ているに過ぎない。 別の言い方をすれば刑事ドラマにしても、今の現実の刑事やら警察官をきちんと取材すれば、全然違う作り方をすることができるはずで、全然違う『亀有交番前』ができるはずだ。だがそのためには一からネタを仕込み、まったく新しいプロットを考えねばならない。そんな売れるかどうか当たるかどうかもわからぬことに労力を費やす人などいないのだ。

eumenes english edition

人に言われてその気になって、『エウメネス1』を英訳してみたものの、ほとんど誰にも読まれないってことがわかっただけだった。英文ならどんどん読者を獲得できるのではないかと期待したが、そんなことはなかった。 和文と英文を分離して、和文は縦書きに戻すことにした。やはり縦書きのほうが全然読みやすい。 今回書き足してしまってずいぶん長くなった。短ければあっさりしすぎていると思われ、長いと飽きられる。簡潔で読みやすく、気がつけば次々に読んでしまって、長さを感じさせないというか、長さが気にならないようなのが良い文章なのだろう。誰も別に長編を読みたいわけではないのだ。面白い作品なら、長ければ長いほどうれしいだけなのだ。 英文もせっかく書いたからどこかにタダで公開しようと思うのだが、英文の小説投稿サイトはもちろんたくさんあってそっちに投稿すりゃ良いのかもしれんが、そこにもまた有象無象の小説があって、結局は埋没してしまうのに違いなかった。 日本語の投稿サイトもいろいろ検討してみたものの、どこも英語の匂いがしない。小説サイトなのに学問の匂いがしない、というのは変な言い方かもしれんが、ああいう文芸サイトというものには、結局、私は受け入れられない気がする。 まだハテナブログのほうが、英文に関心を持つ読者いるのではなかろうかと思われたので、とりあえずこちらに公開することにした。 一度に公開しないのはもったいぶっ… 続きを読む »

海苔弁

こないだ海苔弁の危機というものを書いたが、あれは間違いだった。 海苔弁にはやはり需要がある。 昼時、一番最初に売れてしまうのだ。だからちょうど、朝11時くらいにいかないと手に入らない。 海苔弁に人気がある理由は要するに安いからだ。鮭弁とか幕の内よりも、100円くらい安い設定にしなくては売れない。単価が安いからほんとは売りたくない。しかしよく売れるからその価格設定は崩せない。だから、めちゃくちゃ流行りはしないがしぶとく生き残る。 スーパーやほか弁屋ではそうだが、コンビニはまた違う。コンビニもまた、品揃えは豊富にしたいのだが、余力が無いところは、安くてボリュームがある鶏の唐揚げがメインになってしまうのだろう。 ほか弁屋は待たされるから嫌だ。待たされるくらいなら遠くのスーパーに歩いて行ったほうがましだ。あちこちスーパーを巡って海苔弁研究でもしてみるか。

センター・オブ・ジ・アース 2

『センター・オブ・ジ・アース 2』という映画があってこれは『センター・オブ・ジ・アース 』の続編なのだが、全然地底探検になってないのにこの日本語タイトルにした人はどういうセンスなんだろうねしかし。 『サスペリア』と『サスペリア2』の前例もあるしもうどうでもいいんだろうねマーケティング的には。 『センター・オブ・ジ・アース 』は原題が『Journey to the Center of the Earth』で、原作はジュール・ヴェルヌの『地底旅行(Voyage au centre de la terre)』だから、これはいいんですよ。『センター・オブ・ジ・アース 2』の原題は『Journey 2』。まあこれじゃ邦題考えるの大変だったかもしれんね。 で、雰囲気は完全に『ジュマンジ』(新しい方の)なんだけどさ。まあいいんですよ。さらっと最後まで見れたので、嫌いじゃないです。 ヒロインはほとんどララ・クロフトだった。 プロットはほとんど『天空の城ラピュタ』だった。というかオマージュのつもりなのか? 何にも考えずに飯食いながら見るには良い作品で、『ターミネーター』みたいに途中胃が痛くなるような展開もなくて、淡々と楽しく見させてもらえる作品だと思った。 日本でいうところの劇場版ドラえもんみたいなものか。 ツイッター見ているといつも「何言ってんだこいつ」ってリプライかリツイートしたくなって、精神衛… 続きを読む »

海苔弁の危機

コンビニ弁当の角はもう少し丸くしてもらえないものだろうか。 電子レンジの中で回りにくくて困る。 近頃はコンビニのせいで弁当屋が減ってきていると思う。 セブンイレブンもwebサイトを見るといまだに海苔弁をメインにもってきてはいるが店頭ではあまり見かけない。 人気なので最初に売れてしまうのだろうか。 ほかの某系列だととにかくもうやたらと鶏の唐揚げばかり並んでいて、選択の余地がない。 セブンイレブンはまだ選択の余地があるぶん良いといえば良いが、カルビ丼とかそういう重いやつが目立つ。 スーパーの惣菜コーナーでも海苔弁はあまりみかけなくなりやはり鶏唐が優勢だ。 昔は弁当屋の弁当と言えば、高い方が幕の内で安いほうが海苔弁だった。まずこの二つは常にガチであったと思う。 鶏の唐揚げはおそらく原価がものすごく安いのだろう。 海苔弁はもとは安かったが最近は割高になりつつあるのではなかろうか。 このままでは海苔弁が絶滅危惧種に指定されるのではないかと心配だ。

小説の英訳

さて何かブログに書こうかと思っても最近はいろいろ気が散ることが多くて、ツイッターに何か書き込んだり、調べ物をしたりしているうちに、 執筆意欲というものがどんどん消費されていって、他にもいろいろやらなきゃならないことが思い出されてきて、結局書かないってことが多い。 以前はそうではなかった。2010年くらいまでは、twitter や facebook はまだ閑散としていたし、電子出版というものがそもそもまだ普及しておらず、 kdp など影も形もなかったから、何か書きたい衝動が起こってきたらブログに書くしかなかった。 『1984』に主人公の Winston Smith が「さて何か日記を書こうか」と思い立ったときの心境が描写されているのだが、これがいまさらながら少し面白い。 最近は英語の原作をぼちぼち読み始めているのだが、 やはり、日本語訳で読むときと原文で読むときではかなり雰囲気が違う。 この雰囲気というものを訳すのはやはり難しい。 なんで英語の小説を原文で読み始めたかといえば、自分が書いた小説を一部英訳してみようと思ったからだ。 思うに英語を読まねばならぬという義務感のようなもので読み始めても頭に入っていかず、結局途中で読むのをやめてしまうのだが、 自分の小説を英訳したいという動機があり、その自分の英文にはなはだ自身がなく、他人の小説の言い回しを参考にしようという下心があると、不思議… 続きを読む »

メガス・バスィレウス

『エウメネス』の一番初期の草稿を読んでみたのだが、まず、タイトルが『エウメネス』ではなく『メガス・バスィレウス(大王)』になっていて、一人称ではなく三人称になっていて、エウメネスではなくて、アテナイ出身の貴族ニコクラテスという人が主人公になっている。いやそもそもこのニコクラテスなる人物は主人公というほどでもなく、王の次くらいに主要な登場人物というにすぎない。 アマストリーもまだ出てこない。 拙い、5000字足らずの草稿のようなものだが、『エウメネス』のエッセンスはとりあえず最初からここにそろってる。沙漠の話しかしてない。アリアッノスの『東征記』を読んで一番面白かった箇所を抜き出して小説風に脚色しただけ。これを多少膨らまして中編小説としてどこかの新人賞に応募したが、何の反応もなかった。 ※追記: 今は全6巻、文字数は、1巻平均10万字として、50万字は軽く超えてるだろう。よくまあ書いたものだ。もはや自分でも読もうと思っても読めないくらい長い。 以下にその最初期の草稿全文を公開する。 メガス・バスィレウス 田中久三 アフガンの山岳地帯を抜け、ペルセポリスへ向かう途中に、ペルシャ高原でも一番に過酷な砂漠が横たわっている。その東半分は塩の平原。太古の昔、カスピ海やアラル海のような、閉ざされた塩辛い海が広がっていたのだろう。さらに西へ進めば、砂の砂漠。塩と砂の他には、不毛の岩山がそびえている… 続きを読む »

小説の書き出し

> アマストリーにギリシャ語を教えるよう、王は私にお命じになった。 2013年3月17日にKDPで『エウメネス』を出したときの書き出しはこうなっていた。 ずっと最近までこの出だしのままだった。これを私は > My Lord charged me to teach her the Hellenic language. と訳してみた。「命じる」だが、command, order, charge, assign, appoint など、いろいろ候補がある。 ここでは王から私に一方的に仕事を課した、という意味合いで charge にしてみた。 discharge だと任務を解く、兵役を終わらせる、というような意味がある。 Greek という言葉は使いたくなかったので、Hellenic とした。 Hellenistic だとさらに意味が違ってくる。 Greek はラテン語由来であり、ローマから見たギリシャを意味する。 ギリシャ人自身は自分たちを Hellene と呼び、自分たちの国を Hellas と呼んでいた。 ローマが勃興する以前の話なのでラテン語由来の単語をできるだけ使いたくなかった。 日本語だとラテン語を使わず、たとえば漢語で代用するってことは割と容易だが、英語だとそうはいかない。 漢語はギリシャとローマの関係に中立だから良いが、ギリシャのことをローマの用語で書くとローマ史観や西洋史… 続きを読む »