月別アーカイブ: 2020年11月

評伝 小室直樹

たまたまアマゾンを見ていて、『評伝 小室直樹』という本が2年前に出ていたことを知った。しかるにその上巻はすでに品薄状態で中古でもかなりのプレミアがついている。仕方なく、とりあえず上下巻とも図書館で借りて読むことにした。 著者の村上篤直氏は橋爪大三郎が編んだ『小室直樹の世界』という本に付録された目録を執筆したというから橋爪氏のお弟子さんか何かなのだろう。橋爪氏は当然小室直樹について熟知していた。そしてそれを村上氏にもたびたび語っていただろうし、村上氏も橋爪氏に小室直樹のことについてたびたび質問していただろう。その過程で村上氏は、橋爪氏がどうして小室直樹の本当の姿を書かないのか、小室直樹の評伝を執筆して世に広めないのか、橋爪先生が書かないのなら私が書きますよ、もちろん推薦文くらいは書いてくれますよね、くらいのことは言ったのではないか、と想像されるのである。 私が読みたいと思うのは小室直樹全集であり、その一つ一つの著作に対する解説であり、また校注である。しかしどうも橋爪氏はそのようなものを書く気はまったくないらしい。橋爪大三郎が副島隆彦と共著で書いた『小室直樹の学問と思想』ではただ、小室直樹は偉い学者だったとしか書かれてなく、その著作についてはほとんど触れられていないと言って良い。 で今回『評伝 小室直樹』を読んでその謎が氷解したような気がした。橋爪氏は書きたくなかったのだ。なぜなら小室… 続きを読む »

栗山潜鋒と三島由紀夫と小室直樹

『評伝 小室直樹』下巻p.395 > 崎門の学に連なる栗山潜鋒。 これは間違っている。たぶん小室直樹もそうは言ってないはず。でもそんなふうに読者は思うだろう。栗山潜鋒は水戸学とも崎門学とも関係ない。独立独歩。 > 従来、皇位は長氏相続法にしたがって、順に、白河天皇、堀河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇と継承されてきた。 この認識も間違っている。白河院は、天皇家が摂家に対抗するため、院政を発明した。これによってはじめて皇位の直系相続が実現した。藤原氏全盛時代は、さかんに兄弟間で相続している。それは摂家によって皇位をたらい回しにしたから。摂家の影響力を排除するため意図的に白河院は直系相続にした。栗山潜鋒だって当然、長子相続が天皇家の伝統でもなんでもないことは知ってる。問題は鳥羽天皇が白河院がせっかく確立してくれた直系相続を捨て兄弟相続を復活させたことだ。 > 皇位継承順位は、天倫の序すなわち長子相続法によって定められるべきである。 > その根本規範が、ほかならぬ、上皇と関白によって破壊されたのである。 > 救いがたい急性アノミー(無規範状態)が全日本を覆い尽くすであろう。 この認識もあり得ない。もしそうなら、藤原道長の時代に急性アノミーが生じていなくてはならない。そんなことはなかった。少なくとも表面上は世の中は平和に治まっていた。藤原基経が陽成天皇を廃して光孝天皇を立てたときにもものすごいアノ… 続きを読む »

鬼滅の刃

以前、少年ジャンプみたいな小説を書いてもらいたいと言われたことがあった。少年ジャンプみたいな熱血もので、映画やNHKの大河ドラマの原作になりそうなもの、ということだ。最初は書けると思った。書き始めてもみた。一通り書き終えてもみたが、それはまったく少年ジャンプみたいにはならなかった。いろいろアドバイスももらって直してみたが、どうしても少年ジャンプにはならない。 結局私には熱血小説というものは書けないということがわかった。 ワンピースのような、進撃の巨人のような、寄生獣のような作品は、私には書けないのだということがわかった。もし自分を殺して、ただ与えられた企画書の通りに書くことならできるかもしれないし、一度はそういうこともやってみたいが、しかし、自分が企画も考えて文章も書くとなるとほぼ不可能。また、企画をいろいろと出してみて後は誰かが書くというのであれば企画を出しもしようが、要するに、私にもちかけられた仕事はそれらのどれでもなかった。 もちろん、すごく面白い企画があって、自分もそれを小説にしたい、というシチュエーションがあれば幸せだと思う。しかしその企画が熱血ものとか、売れ筋とか、映画の原作みたいなもの、というようなふわっとしたもので、かつ、なんとなくすでにどこかでみたことあるようなネタふりだったりすると、やる気がでるわけない。そもそも私が好きでもなんでもない作品を例に挙げてそういうも… 続きを読む »

犬の散歩

普通に考えて朝8時から10時の間に犬を散歩させるべきではない。 通勤通学の歩行者、自転車、自動車、みんな殺気立っていて、この時間帯、道を歩くのは非常に不快だ。常日頃できるだけ避けようと思っている。 特に危険だと私が思うのは、というより個人的に憎んでいるのは、電動アシストの自転車、会社のロゴも入ってない白いバン、そして黒づくめの宅配自転車ドライバー。 敢えて8時に犬の散歩に行く人はその時間帯しかできないからなのだろう。犬を引っ張るのに精一杯で、犬が私を威嚇していても、私に謝ろうというそぶりも無い。この犬にしても子供や夫などが勝手に飼い始めたものを妻が面倒見させられているだけなのかももしれない。などということを単に道で犬に吠えられただけでひとしきり考えたりする。 きちんとわきまえている人はだいたい朝6時くらいに散歩させる。そのほうが飼い主にも犬にもストレスが少ないに違いない。 他の人たちも別に8時から10時の間に通勤通学する必要は無いのだ。社会がそうだからそうするのだというのは言い訳に過ぎず、社会の大多数がそれでかまわないと考えているからそういう状況になっている。 コロナが流行る前から首都移転しようとか混雑を解消しようなどとかけ声だけはあったが一向に進まなかった。不可能なのではない。みんなそれほど関心が無いのだ。 私が働いているところでは今年四月になってもまだ屋外に喫煙所が残っている。… 続きを読む »

宅配業者

最近は宅配業者がいろいろ気になる。 かつては郵便局か黒猫か佐川くらいだったが、今は得たいの知れないやつが運んでくる。特にアマゾンから来る荷物が得たいがしれない。 こないだなどは某超優良宅配業者を名乗る謎の男がアマゾンの荷物を運んできた。出てみるとその会社の制服を着てないし、車もただの白いバンだ。レシートもアマゾンのものしかない。ますますあやしい。 某業者が、人手が足りなくて個人に外注したということだろうか? それとも謎の個人業者が、某業者の名を出せばあやしまれないとでも思ったのか。 なんだか嫌な時代になったものだ。 郵便局だからといって不正をやらないわけではないことはいろんな不祥事でわかるんだが、しかし、目に見える組織がちゃんと責任を負っている。 わけのわからん個人に委託してほしくない。