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企画

世に「歴史エンタメ」と呼ばれている作品の多くは、「サラリーマン金太郎」や、「課長島耕作」と同じで、戦後サラリーマン小説の一種であり、 それを子供向けにすれば「ワンピース」になるのだ。 吉川英治が受けたのは、歴史上の人物や舞台を素材としつつ戦後のサラリーマン社会を描いたからであり、 「のぼうの城」もまた同工異曲といえる。 「のぼうの城」の場合、中小企業を継いだ二代目の世間知らずが大企業に刃向かって、前社長の部下たちが頑張って、そこそこ勝利したという話の焼き直しに過ぎないし、 上田合戦にしろ、あるいは真田丸にしろ、歴史好きだから面白いというよりは、 今の日本のサラリーマンが見て素直に共感できるから受けているだけだ。 NHKの大河ドラマも似たようなもので、日曜日夕方にテレビを見ているサラリーマン家庭むけに作られているわけだ。 世の中は、いくら歴史好きのために歴史小説を書いても売れはせず、 「日曜夕方にテレビを見ているサラリーマン家庭むけ」に作られた「えせ歴史もの」しか売れない仕組みになっている。 たとえば最近はやった「相棒」とか「倍返し」みたいなサラリーマンものを歴史エンタメに作り替えるのが、 売れる歴史小説、時代小説を書くコツだろうと思う。 村上春樹が売れている理由が私にはずっとわからなかったのだが、 村上春樹は英文学の翻訳などをやっていて、「マス」が読みたがっている小説とは何かという… 続きを読む »