相棒

今水谷豊主演の「相棒」という刑事ドラマがばんばん流れているので自然と目に入るのだが、
割と見れる作品だ。
税金でまかなわれている警察という組織、そして警察官という公務員が、
法律の範囲内で、事件にどこまで踏み込めるか、そもそも「刑事事件」とは何かということを、
きちんとわきまえた上で作られているからだ。
単なる娯楽番組ではない、教養番組になっている。

かつて[踊る大捜査線](/?p=888)に感じたような不愉快さがない、ということだ。
むろん、わかっているつもりだ、制作側は。
悪いのはそれを流行らせた一般視聴者だ。

その昔の西部警察なんてのは日本の警察官がショットガンやスナイパーライフルぶっぱなしたりして、
あれだとまああきらかに虚構だとわかるからまだ害はないのかもしれない。

まともかく世の中は少しずつまともな方向へと進化しているんだと思う。

酒のほそ道

風邪引いてだるいので気を紛らすため、例によって駄文を書くことにする。
私はこの、『酒のほそ道』の主人公の岩間宗達のキャラ設定が不思議で仕方なかった。
居酒屋や寿司屋を食べ歩き、飲み歩くばかりではなく、
一人で家で晩酌したり、山登りして景色を眺めながら飲んだりする。
年は29歳、独身。
恋人未満の女友達がいる。

自分もそうだったが、
普通に仕事していて独身の男で飲み歩きが好きならば、
自宅で一人で晩酌するなどもったいない、一軒でも多くの店を開拓したいと思うのではなかろうか。
またたった一人で旅行して酒を飲んだりするというのが解せない。

でまあ今回この第三巻を読んでみて思ったのだが、
作者のラズウェル細木という人は、すでに嫁がいて子供がいる人なのである。
妻子持ちならば、一人で酒を飲みたくなることは十分ある。
つまみは缶詰でたった一人の晩酌でもいいから飲みたいというのは人間関係から逃れたいから。
とにかく家庭や仕事、妻子から逃げ出して一人きりになりたいのだ。
その自分を独身男性に投影するからキャラがなんか不思議なことになっているんじゃないか。

ラズウェル細木自身はメタボでもなくハンサムな男だそうで
(追記。つか、[youtubeに露出](http://www.youtube.com/watch?v=st-2LWGI_Bk#t=368)してるじゃんか。
ハンサムかどうかはともかく、痩せてるな)、
だからこそ彼は、メタボで独身でどちらかと言えば三枚目で、
独り飲みが好きな架空の男を作り出したのだろう、という結論に達した。
彼はアシスタントの女性と結婚して離婚している。育児マンガも描いている。
離婚した妻は今もアシスタントとして働いているという。
独りで飲み歩きたい気持ちが伝わってくるよなあ。

というかもともと自分とはまったく別のキャラを描こうとしたのだが、
キャラというのは自然と自分に似てきてしまうので、
連載しているうちにあんなふうになってしまったのかもしれん。

[元妻のブログ](http://icapo.blog55.fc2.com/)
というものもある。

デブ・読書

popular posts 見てるとかなり変なところを読まれている。

[デブ](/?page_id=3242)。

> 食べじとて耐へ忍べども朝ごとに計りて増ゆる我が重さかな

いつごろ詠んだのだろう。
和歌というのはすぐ詠めと言われても詠めないですよ。
毎日詠んでないと詠めなくなる。

[読書](/?page_id=3938)。これは宣長の歌ね。

> 書読めば昔の人はなかりけりみな今もある我が友にして

ドゥカス王朝の皇帝交替問題

[ドゥカス王朝の皇帝交替問題](http://kgur.kwansei.ac.jp/dspace/bitstream/10236/5274/1/352-01.pdf)
という論文を見つけたのだが、
なかなか興味ぶかい。
ま、エウドキアはフィクションなんで脚色してて別にかまわないわけだが、
この論文を読んでもらえば、だいたい史実に沿ってる、ってことはわかってもらえるだろう
(めんどくさいから誰も読まないと思うが)。

ローマノスとヨハネスの間のマラズギルト敗戦後の関係が少し違うといえば違う。
確かにWikipedia英語版読むとそう書いてある。
だが結局これらの話はすべてはミカエル・プセロスという人の伝記がソースであり、
おそらく相当正確ではあろうが、
ただ彼がそう書いているというだけであり、
彼は単にエウドキアに比較的近かった学者というだけで、
政治の駆け引きというものが実際にはどうだったかなんてことは結局はわからない、と思う。
だからこそ状況証拠という名の補助線が必要になってくるわけだが。

ミカエル・プセロスの原典を当たってみないとわからんことではあるが(それはたぶん私には無理)、
上掲論文ではイスタンブルのことをコンスタンティノープルではなくコンスタンティノーポリでもなく、
ちゃんとコンスタンティノポリスと呼んでいる。

おんなじようなところに疑問を持ってるわな。
なぜイサキオスはコンスタンティノスを後継者に指名したか。
なぜ帝位は再びコムネノス家のアレクシオスに戻ったか。
なぜエウドキアはローマノスと再婚したのか。
伝記だけではわからんのよね。論文は仮定以上のことは書けない。
小説だから大胆に創作して書ける。

ヨハネスとは実際どんな人物であったか、兄コンスタンティノスとの関係はどうだったか、
ってとこが難しい。
状況証拠的にはそうとう仲が悪かった。
仲の悪い理由は不明なのでそこは推測して創作するしかなかった。