亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

羇旅歌

崇徳院

あまの住む 浜の藻くづを 取り敷きて ここに泊まると いも知るらめや

藤原季通

何よりも はかなきことは 夏の夜の あだしの野辺の 旅寝なりけり

藤原俊頼

秋来れば 宿に泊まるを 旅寝にて 野辺こそつねの すみかなりけれ

宗良親王

あつまぢや さやのなか山 越え来れば 甲斐の白嶺ぞ 雲がくれ行く

宗良親王

旅寝して 分かるる嶺の あかつきを 横雲のみと 人や見るらむ

宗良親王

つらからぬ 宿こそなけれ 草枕 野にも山にも むすび来ぬれば

定家

草枕 旅より旅の ここちして 夢に都を ほのかにぞ見む

宗良親王

住めばまた いづくも君が 都にて 旅とは誰も 思はざらなむ

宗良親王

仮の世に 仮の宿りを とひかねて 旅より旅の 身を歎くかな

宗良親王

旅の空 何か恋しき ふるさとは 住み憂くてこそ あくがれし身に

宗良親王

いたづらに 行きてはかへる 雁はあれど 都の人の ことづてはなし

よみ人しらず

秋風は たが手向けとか もみぢ葉を 幣に切りつつ 吹き散らすらむ

宣長

受けよなほ 花の錦に 飽く神も 心砕きし 春の手向けは

吉野水分神社にまうでて
宣長

思ひ出づる その神垣に 手向けして ぬさよりしげく 散る涙かな

秋成

わだつみの 手向けのちぬさ 散りみだり 渚に秋の にしきをぞ敷く

真淵

東路(あづまぢ)に ありと聞きつる 富士の嶺を 夕日の空に かへり見るかな

和宮

遠ざかる 都と知れば 旅衣 一夜の宿も 立ち憂かりけり

和宮

三瀬川 世にしがらみの なかりせば 君もろともに 渡らましものを

和宮

住み馴れし 都路出でて けふいく日 いそぐもつらき 東路(あづまぢ)のたび

宣長

いつしかと 思ひかけしも ひさかたの 天の香具山 けふぞ分け入る

宣長

ももしきの 大宮人の 遊びけむ 香具山見れば いにしへ思ほゆ

宣長

とりよろふ 天の香具山 よろづよに 見るとも飽かめや 天の香具山

宣長

いにしへの 深き心を たづねずば 見るかひあらじ 天の香具山

宣長

畝傍山 見ればかしこし 橿原の ひじりの御代の 大宮どころ

宣長

いにしへの それかあらぬか 耳成の 池は問ふとも 知らじとぞ思ふ

宣長

脱ぐも惜し 吉野の花の 下風に 吹かれ来にける 菅の小笠は

秋成

暮るるとも 厭はむものか 灯し火の 明石の浦に 向かふ旅寝は

かへし
秋成妻

いづこにも 露おく袖を こよひしも 月にあかしの 浦の旅寝は

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