ツイッターあたりですでにさんざん書き散らかしたことではあるが、ブログにはまだ書いてないと思うので、まとめておく。ポーランドやバルト三国などはともかくとして、ベラルーシとウクライナはピョートル大帝以来ずっとロシアの縄張りだった。それがソ連となり、ワルシャワ機構となり、冷戦時代となり、固定化した。
しかしソ連は弱体化した。経済的にというより、国力的にというよりむしろ、科学技術的にまったく西側諸国に追いつけずに崩壊した。そうなると、ポーランドやバルト三国はまっさきにロシアのくびきから逃れたけれど、ピョートル大帝、いやその前のイヴァン雷帝以来の属国であったベラルーシとウクライナはロシア圏にとどまった。
ところがだんだんとウクライナはなんの頼りにもならないロシアよりも、豊かなヨーロッパのほうにひかれていった。ウクライナはもともとキエフ公国であり、東ローマ帝国の継承者といってよく、西アジア世界の文化文明はギリシャから黒海を渡ってキエフを経て、だんだんにかつてモンゴルが支配していたロシア内陸部に伝播していって、モスクワ公国ができた。しかしいつの間にかモスクワがウクライナの親分みたいになってしまっていた。ウクライナとしてはロシアと縁を切ってヨーロッパの、EUの、NATO の仲間に入りたがった。
しかしウクライナを失うとロシアは同時にクリミアを失ってしまう。クリミア戦争時代からの権益を失ってしまう。またプーチン大統領は、自分の統治時代になって、イヴァン雷帝以来、ピョートル大帝以来の権益を失うことにはとうてい堪えられなかった。もちろんロシアはウクライナを失っても黒海への出口を完全に失うわけではないのだけど、シベリアなんかは持ってても広いだけでなんの価値もない土地だし、ウクライナを失うと結局ロシアは実質的にモスクワ大公国時代の田舎国家に戻ってしまう。
となるとロシアとしてはウクライナをやすやすとNATO、EU側に渡すわけにはいかない。戦争にならざるを得ない。だけどあえてゼレンスキーがそれをやらかしたということは、ゼレンスキーが英雄だったから、勇気があったからというよりは、アメリカの全面的なバックアップがあったからだ。
アメリカとロシアが直接戦争すれば世界大戦になってしまう。だからアメリカはウクライナを支援するだけにした。ロシアが大嫌いなヨーロッパ諸国は大喜びした。しかしこれは実質的にアメリカとロシアの戦争だ。少なくとも日本にとって、ウクライナがどうなろうとなんの関係もない話である。ウクライナもロシアもポーランドもベラルーシも同じスラブ系の国であり、彼らがどうしようかということは彼らが決めれば良いことであって、日本が口出しするようなことではないし、ましてウクライナを支援するなど馬鹿げたことだ。そういうことを言って朝鮮を支援し、中国を支援し、インドシナに進出して、インパールにも出ていって、日本は痛い目にあったのではないか。外国がどうなろうと日本はかまうべきではないし、かまうなら相応の責任をしょい込む覚悟が必要だ。
アメリカは戦争がしたいのだ。なぜならそれが一番儲かるからだ。アメリカが抱える借金を帳消しにするには戦争が起きたほうがよい。でも世界大戦は嫌だ。だからウクライナ戦争が起こった。それでもまだアメリカの借金は膨らんでいく。では次はどうなるのか。アメリカは戦争を好み、貧乏人を借金漬けにする悪い国だ。