述懐

> ひととせか三とせばかりも世を捨てていづこともなくさすらはまほし

> はるあきは住みこそ憂けれなりはひのことしげきのみうれしくもなし

> もしわれに死ぬまで足れる金あらば明日よりつとめやめましものを

> わがつとめおこたらむとは思はねどしづのをだまき飽きもこそすれ

> のがればやしづのをだまきくりかへし昔も今も同じなりはひ

酒の次は仕事の愚痴か。
中年親父臭きつすぎではあるな。
しかし現代日本に中年親父の歌詠みが居ないのは不自然だし、
といって別に自分がなる必然性もないが、
積極的に先駆けとなるという道もあるわな。

しかし上のやつの最後のは「しづのをだまきくりかへし昔」までが本歌取り(笑)。取り過ぎ。
しかも結構決まってる。
鶴岡八幡宮で頼朝政子の前で、義経を慕って静御前が舞をまってるイメージがオーバーラップして良い感じだろ。
下の句は契沖の「難波がた霧間の小船こぎかへり今日も昨日も同じ夕暮」という本歌があってだな。
あまり本歌らしくないが。
真ん中のやつは「もし我に死ぬまで足れる富しあらば」でも良いか。
そっちの方がやや風流か。
「ましものを」を[和歌語句検索](http://tois.nichibun.ac.jp/database/html/waka/waka_kigo_search.html)したら339件もあったすごい。
いやしかし便利だわこのサービス。

宣長に返す

> 花を見て憂き世忘るる人もあれど我はただ憂しこころせかれて

高杉晋作に返す

> おもしろきこともなき世はいかさまに暮らせどやはりおもしろからず

五月病の事を

> さつきには心わづらふ人もあれどわれはやよひの今こそ憂けれ

> 春を待つ浮かれをのことならまほしつとめの重荷みな片付けて

今日は冴えてるな。

> 春の日ものどけかるらむ年老いてうなゐ心に戻りてのちは

> いとけなきころは来る春来る夏も秋冬もみな楽しかりけり

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