ギリシャ語の読みなのだが、
ψ(psプシ)やξ(ksクシ)、或いはプトレマイオスのπτ(ptプト)のように、
或いはドイツ語のpfのように、いわゆる二重子音が普通に使われていた形跡がある。
χ(ch)、θ(th)、φ(ph) なども本来は摩擦音ではなくて、吐息の音を伴った、
二重子音とも言うべき、クホ、トホ、プホ、のような音だった可能性が高い。
ρも単にrの音ではなくて、常にhの音を伴い、ロホ、のように発音されていた。
例えばリズムを rhythm と書くのは遠い古代ギリシャ語のなごりなわけである。
Φίλιππος はローマ字綴りでは Philippos となるわけだが、
もともとの原音はプヒリッポスであったろうと思われるし、
これを単にピリッポスと書くのはどうもしっくりこない。
χ、θ、φ を単なる k、t、p の音で書きたがるのは、
たぶんギリシャ語とラテン語を両方やる日本人、
もっと具体的に言えば日本のキリスト教の牧師か神父くらいではないか、と私は疑っている。
ラテン語の文中でギリシャ語綴りを発音するにはそのほうが都合が良いからだ。
φ (ph) は今のヨーロッパの言語ではほとんど f と同じに発音されていて、
フィリップを古代ギリシャ語だからプヒリップとかピリップと書くのは非常に不便ではないか。
またフィリッポスと綴ってくれればフィが φi であるのは一義であるから、
φ に関しては、ファ、フィ、フ、フェ、フォと綴ればよいとおもう。
その他、χとk、θとt、λとρの日本語表記上の差異については、
今のところ私にはなんとも答えようがない。