世の中に売れない本を書く人がいなくなったら大変だ。
今の世の中多少文章を書く人はAIで推敲したり校正したり、場合によってはメモ書きを膨らませて体裁を整えてプレゼン資料にしたりするだろう。それが作業の効率化、省力化、業務改善につながると、多くの人が考えるようになってきている。そうして生産された文章がたとえば chatgpt の中だけでぐるぐる環流していればそれほど問題無いかもしれないが、人から chatgpt へ、chatgpt から gemini へ、さらにその他のAIへと、スクレイピングによって、出典の明記の無いまま、世の中に広まっていく。そうするとオリジナルの文章というものはごく少ないのに似たようなコピーが大量に出回ることになり、見た目はまっとうだが中身はどんどん薄まっていき、世界全体の情報量はまったく増えてない、ということになるだろう。AIを使って手っ取り早く売れる文章を書くことが流行れば当然そういう状況に陥る。
twitter とか note とか映えたりバズったりすることが目的の文章が世の中に流行り、そこに AI が介在して、多くの人が読むにもかかわらず薄っぺらい中身のない文章が世にはびこることになる。同じようなことが wikipedia が現れたときにも言われたが、今は AI がそれをレバレッジし加速させている。
いったんいかがわしい俗説が世の中に広まりそれが少数意見を圧倒してしまうと、世の中は何が正しくて何が間違っているのかまるでわからなくなってしまうだろう。もちろんこれまでも人の世界の歴史というものはそうしてできてきたのだが、きちんと原典に当たってこつこつ研究する人がいないわけではなかったから、間違いの多くは修正されてきた。
AIが利潤を追求し、人がAIを鵜呑みにするようになり、誤りが拡大再生産されて、大衆がそれを当たり前と思い、世の中が発狂していく。
それを防ぐには売れない本をこつこつ書く人がいなくてはならないということになる。twitter とか note に書いている場合じゃない。
