一緡(いちびん、もしくは、ひとさし)の青蚨(せいふ)、と読む。
穴の開いた銅銭に通して百銭、または千文単位で結ぶひもが緡。
青蚨とは銭のこと。
一緡の青蚨とはつまり、ひとまとめにした銅貨のことを言う、らしい。
銭緡(ぜにさし)、銅貨一緡、青蚨半緡などとも。
青蚨は青鳧とも書く。
蚨は水棲の虫で蝉に似るという。
鳧はケリという鳥。
青蚨がなぜ銅銭なのか。よくわからない。
> 南方有虫名敦禺、一名則蜀、又名青蚨,形似蝉而稍大,味辛美,可食。
南方に敦禺(とんぐう)、あるいは則蜀(そくしょく)、または青蚨(せいふ)という名の虫がいる。形は蝉に似ているがやや大きい。辛いが美味で、食べられる。
> 生子必依草叶,大如蚕子。
卵は必ず草の葉に付き、育つと蚕のようになる。
> 取其子,母即飛来,不以遠近。
その幼虫を取ると、母は遠近にかかわらずすぐに飛んでくる。
> 雖潜取其子,母必知処。
こっそりその子を取っても、母は必ずどこかわかる。
> 以母血塗銭八十一文,以子血塗銭八十一文,毎市物,或先用母銭,或先用子銭,皆復飛帰,輪転無已,名曰「青蚨還銭」。
母の血で八十一文の銭に塗り、子の血で八十一文の銭に塗る。
市場で売り買いするとき、母の銭から先に使っても、
子の銭から先に使っても、皆まだ再び返ってきて、
繰り返し終わることがない。
そこで「青蚨還銭」という名がついた。
> 由此,古之銅銭常以「青蚨」或「蚨钱」代指。
そこで「淮南子・万華術」では、昔の銅銭を代わりに「青蚨」或いは「蚨銭」という。
らしいですよ。
なぜ81文で束にするのだろう。9×9=81というつもりだろうか。
子母銭ともいうらしい。
「青蚨術」。
ま、要するに、ただの銅銭ではなくて、一つづりになった銅銭の束、ということであろう。
[捜神記](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8D%9C%E7%A5%9E%E8%A8%98)
というものに書かれているらしい。