カクヨムでだんだんに肉付けしていったものを、
だいたいのところで kobo ライティングライフで無料で出版しておいて、
そのあと KDP で 99円で出して、
今 0円にしてもらえないかどうか交渉しているところなんだが、
もう買ってくださった人がいらっしゃる。
KDP で試し読みした人はいないので、たぶん KDP 関係者の人は
twitter を読んでて早めに読みたい人はカクヨムを読んで、
0円になるのを待っているのだと思うのだが、
たぶん、kindle でタイトルだけ見てすぐ買った人がいるということなんじゃないか。
kobo ではこうはいかない。
アマゾンは偉大だ。
ほとんど書き終えているんだけど、今も、たとえば、
> 彼女はまずドライブスルーのマックに車を駐め、インターホンに向かって大声でオーダーする。
とだけ書いていたところを
> 淡い青紫の花の房が枝をたわわにたわませているジャカランダの並木道を走らせ、金持ちが住む住宅街を抜けて、彼女はまずドライブスルーのマックに車を駐め、インターホンに向かって大声でオーダーする。
などのように加筆したり、
> 涼しげな木陰を店先に落とすベンジャミンの巨木が印象的な、海風に吹かれるオープンテラス。
みたいな言い方をして「西海岸」っぽさを出そうとしている。
これに対して
> さんさんと日の当たる公園のベンチは暖かかったが川にはもう氷が張っていた。
というのは「東海岸」を表現しているつもりで、
> フィヨルドに流れ込む川はどれも細く急流で、ときにははるかな岩の上から、海に滝となって流れ落ちる。その水は澄んでいるがごく冷たい。
というのは北欧辺りをイメージしているわけなんだが、
そういう細かな枝葉が必要かどうか私には、実はよくわからない。
「たわわにたわませる」というような言葉遊びは好きだし(「たわわ」と「たわむ」は同語源)、
西海岸、東海岸、亜寒帯の空気感の違いは出せるものなら出した方が良いと思ってやってみている。
最近はわざとプロットやタイトルが一般読者向けの小説を書いている。
「潜入捜査官マリナ」「妻が僕を選んだ理由」などがそう
(「生命倫理研究会」は単にラノベを書こうとして失敗した例)。
官能小説か大衆小説みたいなタイトルを付けて、
冒頭ぱっと見、ハーレクインロマンスみたいな展開にしている。
それはまあ、疑似餌なわけだが、
疑似餌は疑似餌なりに楽しめるようにしておきたいし、
読み始めて違う意味で興味を持ってもらいたいと思っているのである。
ある意味騙してるみたいなもんなので、作品解説でもいちおうネタばらしはしてあって、
そのうえ念を入れて無料配布にしたいのだが、
有料で買っていただけて恐縮している。
実は4万字しかなかったのを8万字まで増やすためにエリックというキャラを追加したのだが、
これは結果的には一応良かったと思っている。
エリックはベタなキャラで、彼の登場で明確な三角関係ができる。
ストーリー的には安定するが、少し陳腐な匂いがしなくもない。
「妻」はなぜ「僕」を選んだか。これは完全にSF的な理由なので、
多くの人はだまされると思う(騙されなきゃ作者は困る)。
まあこれ以上自分でネタばらしするのはやめておこう。
今回の表紙絵は、JPEG のリンギングがあまりにひどいので背景になにやら模様をつけた。
これは clip studio paint のフィルタだけで描けるものだ。