とりよろふ

「とりよろふ」は万葉集に「大和には群山あれどとりよろふ天の香具山」という形でしかでてこない。
岩波古語辞典はあっさり「不詳。気持ちや生活のよりどころとする意か」とある。
「とりより」から派生したのは明らかであり、こちらは用例が多い。
原義は「手づるをつかんで近くに添うこと」、らしい。
「うつり」に反復・継続の接尾語「ひ」がついて「うつろひ」となるように、
「とりより」に「ひ」がついて「とりよろひ」。

そうしてみると、大和にはいろんな山があるが、
それらの山々がとりよろふ天の香具山、
つまり、大和の山々の中でも、中心的な位置、存在、代表であるところの天の香具山、
となるだろうか。天の香具山自体は、高くもなく、平凡な山であるが、その名の通りに何か特別な意味を持つ山である、
ということだろう。

> 忘れ草 忘れな草と とりよろふ 野の八千草に まどひぬるかな

はて、これは誰の歌であったか。
あれ?
わからんぞ。
あ、わかった。やはり自分で詠んだのだ。

> とりよろふ 天の香具山 よろづよに 見るとも飽かめや 天の香具山

宣長の歌だが、単なる枕詞のように使ってあるな。

> 日の本や こまもろこしと とりよろふ よろづの酒を 飲みてしやまむ

これは私の歌なのだが。
こんな使い方していいのだろうか。

うーん。不適切な気がしてきた。

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