蘆庵と宣長と景樹

長くなるので、記事を改める。
蘆庵と宣長と景樹、この三人は比較的仲が良く、互いに交友している。

思うに、蘆庵は、良い歌を詠むには、第一義には「無法無師」つまり何も決まりなく、誰にも教わらずに詠むのが良いとしている。
古歌はみなそうして自然とできたものだからだ。
第二義には、愚鈍蒙昧な私であるから、そうして「無法無師」できた古歌を見習って詠めばよい、とする。
第三義には、古歌をことごとく調べて良い歌を選り出すのは難しいので、とりわけ古今集を参考にすれば良い、と言っている。
古今集を参考にせよと明確に言っているのは景樹ではなくて実は蘆庵である。
しかも蘆庵は、最善でも次善でもないがやむを得ない第三の方法として、それを勧めているだけなのだ。

また、宣長は、真淵を師と仰ぎながらも、その万葉調の歌ぶりには与せず、比較的正統な二条派の歌風を生涯維持した。
また、景樹の「古今和歌集正義総論」など読むと、宣長の国学・神学の強い影響と賛同とが読み取れる。
景樹は、明らかに、自分よりも40才ほど年長のこれら宣長・蘆庵の二人の説を取り入れて自分の歌論を形作ったものと思われる。

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