メディアとビジネスモデル

二、三年前から、死に物狂いでビジネスモデルを考えて、ついに収益が出るようになったメディアと、
二、三十年前からの収益モデルで今日までやってきたが、技術革新についていけず、手詰まりになりつつあるメディアの差が、
顕著になりつつあるよなあ。
地デジ化というのは大いなる目眩ましだった。あれは技術革新でもなんでもなかった。
地デジ化しさえすれば、NHK も民放も技術革新についていけるんだと思い込もうとしただけ罪が深かった。

NHK はネット同時配信を望み、民放は嫌がっているというが、
まず民放は、番組の合間にむりやり広告を見せることによって収益を得ているが、
ネットの VOD なぞが主流になれば広告をすっとばせることになるから、
要するに、インタラクティブなものはすべて収益の敵であって、
切れ目なく(ユーザにとっては不便を強いられる)ブロードキャストできるメディアでなくてはならない。
NHK は受信料もらうタイプだから、ブロードキャストでもインタラクティブでもどちらでもよい。
ついでに、PCや携帯端末もってるだけでも受信料をとろう、というように、放送法を改正しようとしてくるだろう。

となると、我々としては、NHK も民放もどちらも迷惑なだけであり、Youtube やニコ動でなぜいけない、
という話になろう。
うちの場合はケーブルテレビも契約しているが多チャンネルの専門チャンネルにしてくれればそれで十分だ。
放送局がネットに進出しようとすれば、結局は、既存のビジネスモデルを何らかの形で参考にし、取り入れざるを得ず、
そんなら Youtube やニコ動とどこが違うのか、後追い参入してきているだけじゃないか、などという話になる。

というか、テレビ放送だけでなく、だいたい、昭和の頃からあるメディアのビジネスモデルの多くは破綻しつつあるのだ。
我々はでは今どちらのメディアに乗っかるのか、古いメディアはどうせ沈みゆく泥船だから見捨てるとして、
新しいメディアに乗っかるとして、どこに乗っかるのか、
いや古いメディアにもまだ底力が残っているのか。

無論電波利権とネットを組み合わせ得る、既存のテレビ局の方がまだ有利だと思うが、
新しいビジネスモデルを必死で思いつこうという切羽詰まった雰囲気が見られないよなあ。
そういうことに頭を働かす常駐スタッフなどいないのだろう。
経営者の考えは旧態依然だろうし、
プロデューサーやディレクターなどは既存のビジネスモデルに自らを最適化してしまっているのだから。

今のビジネスモデルを変更するということは、やはり多かれ少なかれ現在の利権の一部を手放すこと、
他人の参入を許すこと、市場を自由化すること、
自分の仕事を増やすこと、になるのだろうなあ。

よく聞く話に、映像作品は、インタラクティブであってはならない、というものがある。
つまり、映像を鑑賞するには、映画館のような大画面大音量の施設で、最初から最後まで、
途切れなく見続けなくてはならないというものだ。
しかし私は、仮にそれが、感動を最大化する方法だったとしても、できるだけ拒否したい。
自分が途中で見るのをやめる、もしくは続きを後から見たり、最初からもう一度みたり、
BGV としてだらだら何度もみたりする権利の方がはるかに重要だと思う。

映像作品は最初から最後まで黙ってみろというのは、ヒトラーのプロパガンダの理論であり、
小中高の一斉授業の論理であり、
放送業者の理論であり、作り手、送り手の理論に過ぎない。
そんなものに拘束されるいわれはない。

念のために言っておくと、映像作品が、Flashアニメやゲームのようなインタラクティブコンテンツであるべきだ、
と言っているのではない。
必要もないインタラクティブ要素を入れられるのは迷惑なだけだ。

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