おもひきや

丸谷才一が『新々百人一首』で、
小野篁の歌

> 思ひきやひなのわかれにおとろへてあまのなはたきいさりせむとは

この「おもひきや・・・とは」という倒置表現が、
漢詩の語順の影響だというのだが、はてどうだろう。
たしかに冒頭いきなり「おもひきや」とやったのは、調べた限りでは小野篁が初出のようではあるが。

> こころゆも われはおもはずき またさらに わがふるさとに かへりこむとは

> こころゆも われはおもはずき やまかはも へだたらなくに かくこひむとは

> やまとには きこえもゆくか おほがのの たかはかりしき いほりせりとは

> うつつにも いめにもわれは おもはずき ふりたるきみに ここにあはむとは

まあ、類似した倒置表現ならば万葉集にもあるわけだが。

しかしいきなり「思ひきや」で切ったのは新しい表現だったかもしれんね。
いや、探せば出てくる可能性はあるがね。

> ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは

これも倒置だわな。
小野篁が隠岐の島に流されたのよりは後だが。

> 月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身一つはもとの身にして

これもやはり業平なんで小野篁よりは後なわけだが。
もしかすると古歌かもしれんがね。

ましかし初句切れは万葉集にはまず出ないよな。

あとは「知るらめや」とか「忘らめや」とかもあるわな。

> はるやとき花やおそきとききわかむ鶯だにもなかすもあるかな

> めづらしや昔ながらの山の井はしづめる影そくちはてにける

> 春やこし秋やゆきけんおほつかな影の朽木と世をすくす身は

これも初句切れ。

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