「虚構の歌人」に載せた自詠の歌の一つに致命的な文法上のミスを発見してしまった。
恥ずかしい。しかし印刷したものは直せない。
まあ、人間は過つものだよな。
> しぬばかり 酒飲むことも ありけむや いまはおぼえぬ わかかりし日に
> 世の中の 人とたはぶれ 酔ひしれて 歩くはおそろし 老いにける身は
年取ったせいでなんとなく昔より文章が書けるような気がしたのと、
これ以上年取ると頭ぼけてくるから急がないとってのと、
死に損なったので、
慌てていろいろ書いたりしたのだが、
まそれも一段落して、
すでにこれまでに書いたものをかき集めただけでも、
後世の人は私がどんな人だったかってことはわかるはずで、
これからさらになんか書いたからって世の中に何かをよけいに残せるわけではない気がする。
小室直樹も「ソビエト帝国の崩壊」より後は書いても書かなくてもよかった。
50歳前に死んでいても小室直樹は小室直樹だったはずだ。
むろん一時期テレビに出てたことや、その後の著作活動なんかも、
彼を有名にし、世の中に彼の評価が定着する役にはたったわけだけども、
本質的な部分は、「ソビエト帝国の崩壊」と、そのあとの「アメリカの逆襲」あたりまで読めば十分なわけだ。
そうしてみれば、私がこれから多少頑張ったところで、
或いは本の部数が多少増えたところで、大したことはなくて、
むしろいかに何もせず、自分が楽に生きるかってことを目標に生きたほうが良いのではないかという気がする。
周りの人が間違っているように見えても、
また実際これまでずっと間違った判断をしていて、
自分が属する組織や社会を悪い方向へもっていこうとも、
それを指摘したり、改善しようとしたり、戦う必要はない。
それは私の仕事ではないし、私に向いてもいないし、そもそもする必要がない。
人のペースに巻き込まれて無理に酒を飲む必要もない。
自分が一番楽な生き方をすれば良い。
ある意味それが今の私がやるべき仕事だと思う。