鬼滅の刃

以前、少年ジャンプみたいな小説を書いてもらいたいと言われたことがあった。少年ジャンプみたいな熱血もので、映画やNHKの大河ドラマの原作になりそうなもの、ということだ。最初は書けると思った。書き始めてもみた。一通り書き終えてもみたが、それはまったく少年ジャンプみたいにはならなかった。いろいろアドバイスももらって直してみたが、どうしても少年ジャンプにはならない。

結局私には熱血小説というものは書けないということがわかった。

ワンピースのような、進撃の巨人のような、寄生獣のような作品は、私には書けないのだということがわかった。もし自分を殺して、ただ与えられた企画書の通りに書くことならできるかもしれないし、一度はそういうこともやってみたいが、しかし、自分が企画も考えて文章も書くとなるとほぼ不可能。また、企画をいろいろと出してみて後は誰かが書くというのであれば企画を出しもしようが、要するに、私にもちかけられた仕事はそれらのどれでもなかった。

もちろん、すごく面白い企画があって、自分もそれを小説にしたい、というシチュエーションがあれば幸せだと思う。しかしその企画が熱血ものとか、売れ筋とか、映画の原作みたいなもの、というようなふわっとしたもので、かつ、なんとなくすでにどこかでみたことあるようなネタふりだったりすると、やる気がでるわけない。そもそも私が好きでもなんでもない作品を例に挙げてそういうものを作ってくれと言われてやる気が起きるはずもない。そもそも私はNHKのドラマは朝ドラにしろ大河にしろまったく好きではない。

まあ世の中の企画会議というものはだいたいそんなものなのだろう。たぶん私はそういう世界では生きていけないのだ。もちろん私も自分の小説が映画やドラマになってもらいたいと思ってはいる。なればなったで面白いつもりで書いているのだが、まったくお呼びがかかる気配もない。

鬼滅の刃をざくっと見た感じでは、プロットとしてはアイ・アム・ア・ヒーローに似てると思った。アイ・アム・ア・ヒーローの連載開始は2009年らしいが、その頃はまだ私も惰性で漫画雑誌を買って読んでいた。アイ・アム・ア・ヒーローはやはりその中で私が惰性で読んでいた作品の一つで途中で読むのをやめてしまった。

鬼滅の刃の連載開始は2016年ということで、おそらくアイ・アム・ア・ヒーローの影響は受けていよう。舞台を現代ではなく大正時代に置き換えて、武器もショットガンではなく刀にして、美術にも凝っている。その辺りが受ける要素だろうか。

要するにゾンビものの一種だが、おおもとのプロットは1982年に出た遊星からの物体Xだろう。人から人へ感染してゾンビ化していくというもの。

鬼滅の刃に関して言えば、美術は優れているし、世界観や登場人物に感情移入できれば見続けることもできるかもしれないが、プロットとしてはそれほど目新しいしものではない。こういう作品は近頃たくさんあって鬼滅はその中から頭一つ抜け出した存在なのだろう。こういう連載物はなんでもそうだが最初の数話が当たるとそれをいつまでも引き延ばすだけのことだから、最初だけ見れば十分に思える。劇場版がみたいかといわれれば、まあそこで新しい展開があるなら確認はするかもしれないが、ともかくがっつり見ようという気にはなるまいと思う。

主人公の額に傷だか痣があるのはレディ・プレイヤー・ワンのヒロインを思わせるし、北斗の拳もまたそうだ。

結局、こういう前例があってこういう企画で売れるように書けばこうなった、という作品以上のものではないように思うし、何かそこから逸脱する要素があってそこで受けているとも思えない。こういう作品を自分で書くかといわれれば、他の人にも書けるじゃんと思うからたぶん書かない。大正時代に特有な、たとえば江戸川乱歩的な要素は感じるが、そういう世界観が特別珍しいわけでもない。

ほかの、源流となった作品を何度も見返すことはあるかもしれないが、一通り見たらそれ以上見ることはないと思う。ま、要するに幕の内弁当的な作品、ということになろうか。ツイッターでは旨味調味料などと書いてしまったが。

もっと言えば、私としては、誰かの解説をいくつか読んでからざっと確認するだけで十分な作品に思える。それは進撃の巨人もそうだ。別にその世界の中に入り込みたいわけではなく、単に、世の中で流行ってるから確認作業をするというだけのことだ。

ネタバレ無しでガチに見たい作品はほかにもっとある。

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