宣長
> もののふのたけき心も咲く花の色にやはらぐ春の木のもと
武士の猛き心と桜の花は違うと言っている。
> 春の日の長きを花の心にて散ること知らぬ桜ともがな
> 待ちえても心にまかす花ならで見る日すくなき山桜かな
花は心のままにならないと言っている。
> 春の日を長きものとは山桜花見ぬ人の言ひやそめけむ
> 我が背子は来ても見てしか花ぐはし庭の桜は今盛りなり
> 桜咲く片山岸のとこ岩のつねにもがもな花の盛りは
> みよし野のこれもうきよの色ながらえもいとはれぬ山桜かな
> 憂しつらし雨よ嵐よいくほどもあらぬさくらの花の盛りに
> 白雪のふりぬる身にも春の来て心は花に若返りつつ
> 日暮らしに折りてかざして遊べども飽かぬは花の色香なりけり
> 世の人はあだなりとこそ思ふらめ花に染めたる我が心をも
> 咲きしより日ごとにかれず見てもなほ花には飽かぬ我が心かな
> さくら花めづる心の色はなほ盛り過ぎてもさかりなりけり
> いかにせむ花にうかるるこの頃の心のはてよ嵐吹きなば
> 山桜花はあだなる色ながらめづる心ぞいつもかはらぬ
> 吹く風もしづかなる世に思ふことなくて花見る春のもろ人
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