なぜか明治神宮に行ってきた。
> 降ればなほ行きて見まほし春雨に代々木の園は青みたるかと
> みそのふに春雨ふれば人を無みひとりしめ野にあるここちする
正直に言えばここまでは「心象風景」。
わりに人はいた。
しかもふしぎと女が多い。
最近、[明治神宮内の「清正井」がブーム](http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100207-00000500-san-soci)らしく、
宝物殿などはいつも閑散としているのに、そこから流れてくるのか、
にわか歴女たちが「大正天皇ってダンディー」とか言いながら群れているのが、何かいらだたしいやらにがにがしいやら。
テレビ見たくらいでほいほい沸いてくるなよと思いつつ。
> 春雨のふれる宮路を踏みゆけばしめりてきしむさざれ石かな
> などか知る虎を狩りたるきよまさの名にしおふ井戸に人の寄り来る
で、よく見ると雨の中にも視界に人影が一人二人と入ってくる。
同じ場所にずっと立ち続ける女性とか、一人で気功やってる男性とか。
写真撮ってるひと、地面に穴掘る人とかいろんな人がいる。
占いやってる人ってものすごい勢いでしゃべりたがるよね。
いや、しゃべりたがっているのではなくてそういう仕事なのかもしれんが。
女性だとわざと化粧をしなかったり。
すっぴんでも大丈夫なんですパワーとか。
心霊スポットならずパワースポットとか。
そういう人たちが明治神宮に集結しだしたらどうしようとか杞憂だろうか。
なんか明治神宮創建当初全国から集められた植樹は、当時の写真で見ると大鳥居よりも背が低かったようだ。
そこで詠める:
> うつせみの代々木のもりは鳥居より木高くなりぬふりしまにまに
> おほきみのみよのとほさを生ひ茂る代々木の杜の木立にぞ知る
代々木公園の方にも行ってみる。
こちらも日曜だが雨のためほとんど人はいない。
しかしまったく居ないというのでもない。
見るといろんな碑やら像やらが立っている。
中で「大東塾十四烈士自刃之處」というものがあり、
ここがむかし連兵場で終戦当時に切腹をした人たちが居たらしい。
塾長の影山庄平という人の辞世の歌:
> こんとんをひらきて今や天地の始発の時と祈り行くなり
> 國うれふやたけ心のきはまりて静かなるかも神あがるとき
代々木連兵場は米軍に接収され宿舎用地となり、東京オリンピックの時に返還されて選手村となり、
そのあと国土緑化運動の中の一つとして森林公園となったそうである。
これらうっそうたるレバノン杉やヒマラヤ杉やメタセコイヤの林も東京オリンピック以来とはなかなか信じがたいものがある。
> きもをなめたきぎにふせしつらき世を知らずなりゆくわがくに民は
> 知るらめや代々木の園もひとたびはえびすの住める里となりしを
それはそうと、「たまぼこ」は「道」にかかる枕詞なので、
宣長の「玉鉾百首」とは「神の道」を教えた歌だったのだ。
どうりで宣長にしては、ぎこちない歌ばかりだと思った。
> うまざけは日ごと飲みてもうまけれどひと日あくればなほまさりけり
歌物語というのはあるが歌ブログというのはあまり無いジャンルではあるまいか。