久しぶりに、堀口大学訳・サンテグジュペリ「夜間飛行」を読む。
この本に「職業倫理」、というふうにしか表現しようがないが、
ずいぶんそういうものの影響を受けたんだなあと思う。
ある種、骨肉となるまで自分の中の一部になってる。
今読み返すとそれはある程度までは、冒険者で作家だった彼の固有の思想というよりは、
フランス人、あるいは西洋人の職業(天職)に対する意識を反映しているのだろう。
上司は上司、部下は部下で、むやみと私生活レベルでべたべたすべきではない。
それは会社だけでなく軍隊でもそうだということだろう。
上司が部下を頼り、部下は上司を頼るというのは、東アジアでは当たり前のことで、美徳でもあるかもしれないが、
いざというときに上司が部下を愛するが故に処罰をためらったり、
部下が上司に手心を加えてもらうのを期待したり、
そのようなことがないように、
パブリックとプライベートのけじめをはっきりさせる、
それでいて上司と部下の間は暗黙の強い友情で結ばれている、というのが西洋における理想なのだろう。
サンテグジュペリはちょうど1900年に生まれ、
31才で「夜間飛行」を書き、
39才で「人間の土地」、
43才で「星の王子様」を書いて、44才で死んだ。
彼よりも長生きしようとしている自分に驚く。
「夜間飛行」に出てくるリヴィエールですら50才だ。
自分の仕事にいい加減飽きてきたのも当たり前だなと思う。
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