天皇家を王家という言い方がどうかというので盛り上がっているようだが、
『日本外史』に限って言えば、
> 先王の必ず躬ら之を親らしたまふは、其の旨深し。
> 吾外史を作り、はじめに源・平二氏を敍するに、未だ嘗て王家の自ら其の権を失ひしを歎ぜずんばあらず。
> 吾は王族なれば、当に天子と為るべし。
> 我、平治年間より功を王室に建て、天下を專制し、位、人臣を極め、帝者の外祖と為る。
> 汝、王命を奉じて乱賊を討ち、兵を交へずして帰る。
などのように、天皇を「王」と呼ぶことは極めて普通。
漢文にはそういう風習がある。
また、
> 平氏は桓武天皇より出づ。
のように、「天皇」という呼称を使うこともある。
ただし、普通「王」といえばそれは「親王」のことを意味するから、天皇を単に王と呼ぶことはあり得ない。
「王命」とか「王室」のような熟語の中で使われるだけだ。
他には「上皇」「院」「法皇」なども普通に使われている。
天皇を「日本国王」と呼ぶことも忌避されるだろう。
というのは、これは慣習的には「中国皇帝」の臣下としての呼称であり、
足利義満もそう呼ばれていたからだ。
思うに、「王家」という言い方は少し漢文的・儒学的であり、口語で使われることはまずなかっただろう。
公家の日記も漢文だから、使われていた可能性は高い。
公式文書では「王家」や「王族」などが簡潔で好まれたのではなかろうか。
「皇室」や「皇族」などという用語はあまり使われなかったのではなかろうか。
大和言葉なら、天皇家の血統という意味なら「あまつひつぎ」だろうか。かなり堅苦しいが、他にあまり思いつかない。
じゃあ普段の話し言葉ではなんと言っていたか。
さあ、わからない。
だが、現代語で話すドラマなのだから、現代人の口語に準じればよいだけではなかろうか。