ベーシックインカムというのは、これまで以上に社会保障を厚くするとか社会福祉国家に突っ走るというよりは、逆に、
これまで政府がやってきたいろんな福祉やらなにやらの仕事を全部個人に丸投げするというやり方だわな。
だから社会主義というよりは自由主義と相性が良い。
最低賃金もなくしてよい。
国や自治体は医療費負担しなくてよい。
年金制度もいらない。
どうしてもそっちのほうへいく。
政府は外交と、治安と、国防と、収税。道路・治水などの社会インフラ。
ま、そういう必要最小限度の機能だけ持って、あとは個人に「基本的人権」を維持するのに足る最小限の金をばらまけば良い。
非常にコンパクトな政府になり得る。
で、ベーシックインカムがこれまでうまくいかなかった一番の理由は納税の問題だと思う。
国民なのか国民ではないのか。
税金払ってるのか払ってないのか。
それが曖昧なままではベーシックインカムはただの慈善事業になっちゃう。
全国民の収入と納税が完全にガラス張りになっていて初めてベーシックインカムが機能する。
日本もやっとマイナンバー制度が始まって、
まあほとんど100%所得が把握されちゃうことになったから、
ベーシックインカム始めてもいいかなくらいまできた。
でも、ベーシックインカムは寄こせ、年金は払いたくないがよこせ、医療費は自治体が負担しろ、でも税金は払いたくない、最低賃金は守れとか、
所得は知られたくないとか、そういうことを言ってくるうざい連中がまあたくさんいて、
弱者救済ビジネスとか政治団体とかがまだまだうじゃうじゃいる。
ベーシックインカムが必ずしも弱者救済ではなく、
かつ、
弱者を装った反社会勢力の救済には一切ならないこと。
ま、これが明らかになれば彼らは反対してくる。
こんなのほんとの福祉国家じゃないとか。社会主義とか共産主義の理想から逸脱してるとか。
誰が反対するかで、誰が反社会ビジネスに荷担しているかが見えてくるわな。
ベーシックインカムは機能し得る。
それは理想的な共産主義社会に非常に近いものだ。
今後ロボットや人工知能が普及すればさらに労働力は余ってくる。
労働者が余ると、労働市場というものが存在し、労働者が労働市場に依存する限りにおいて、
需要と供給のバランスで、労働者は困窮せざるを得ない。
社会がいくら豊かになっても、労働力に余剰がある限り、労働者は幸せにはなれないのだ。
だから働きたくない人、働けない人、働く必要のない人は積極的に、働かせないようにしなきゃいけない。
人間は働かなきゃいけないというのも近代の幻想にすぎない。
今の教育は将来子供たちを労働者にして労働市場に投入して、労働市場に依存させるためのものだ。
これじゃ労働力の過剰供給になる。
資本主義社会が悪いのではない。
労働市場が悪いのだ。
労働市場は社会主義国家にもあった。
だから結局社会主義国家は労働者を救えなかった。
食料は余りつつある。むしろ人類の多くにとって肥満のほうが問題だ。
戦争は減りつつある。むしろテロのほうが問題だ。
テロはベーシックインカムで防げる。
国家に属さない、税金を払わない無法者がテロリストになるが、
所得をガラス張りにすればベーシックインカムあげるよと言えば、
普通は嫌とはいわない。
そしてとりあえず彼らを飼い慣らすことができる。
国家の枠組みにいれちゃうことができる。
仲間がひよっても、自分一人だけでも戦い続けるぞなんてやつはまずいないからどんどん雪崩をうってごく当たり前の市民になっちゃう。
そうするとテロリストがそもそもいなくなる。
食料があまり、戦争もテロもなけりゃ、人間のやることはますます減る。
ただ遊んでいればいい。
そして働きたい人、高収入が得たい人、自分の才能を試したい人、趣味で働きたい人だけが働く。
そうなると、労働市場は自然と均衡してくる。
人間は生きているかぎり消費するし、消費があればビジネスは生まれる。
ビジネスがあればなんらかの形で税収がある。
税収があればそれをベーシックインカムに使えばよい。
ま、そういう社会の仕組み、お金の循環というものが、昔から人が夢想してきた、理想的な共産主義社会というものじゃないのかね。
マルクスの予言が成就した社会ということができるのではないか。
だからまあ、もともと政府が弱体で、人口が少ない、エストニアみたいな国が、
完全なマイナンバー制度の完全な電子政府を作って、
社会保障は全部ベーシックインカムで済ませちゃう。
そういうところがまず成功するだろうと思う。
日本みたいに政府が肥大するだけ肥大しちゃって、
弱者救済ビジネスが高度に発達してしまった社会の場合、
その余剰を削るのに一苦労だ。