大いなる助走

久しぶりに読み直してみたのだが

> あなたも小説を一度書いて見られたらおわかりになろうかと思いますが、
小説を書いている間というものは小説の世界へのめりこんでしまって現実がどうなろうと知ったことじゃなくなるんです。
小説をよくする為には利用可能な現実の出来事をすべてぶちこんでしまって、
それが日常生活に及ぼす結果や我が身にはねかえってくる報いなど、
たとえ馘首になろうがどうなろうがどうでもよくなってしまうんです。

いやー。無理無理(笑)。絶対無理だからそれ。書けないものは書けないよ。
同人誌書いてる学生じゃあるまいし。
ビデオ公開しちゃった海上保安官じゃあるまいし。

はっ。まんまと釣られた。

しかし、今でも、20代の、しかも女性作家に、私小説というか暴露小説まがいのものを書かせて、
それを持ち上げる傾向はあるよねえ。いかがなものかと思うが。
つまり、それ以外に話題性というか、インパクトのある小説が無いのがいけないんでしょうけど。

小谷野敦『私小説のすすめ』も、

> 多くの有名作家が私小説からスタートしたのだ。しかも、文学的才能がなくても書け、誰もが一生のうち一冊は書きうる小説

などと言っているということは、
作家は一生に一度しか書けないような私小説を(まだろくに人生経験もない若い頃に)書いてデビューして良い、
と言っているわけだから、『大いなる助走』に出てくる主人公の市谷みたいな暴露小説を書いてよいと、
そそのかしているようなものだ。
うーん。
どうなのかねそれは。

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