今年はサンマが不漁でイワシが安いというが、安いイワシというのはいったいどこに売っているのだろうか。
安いというくらいだからサンマの半値とかでばんばん売られてなくては嘘だが、
そんなものはみあたらない。
サンマの味というのはイワシとか丸干しのメザシとかあるいはニボシなどとはまたまったく違って独特のものだ。
子供の頃(あるいは学生の頃学食で)サンマを食べた記憶ではなんかむやみとゴムみたいな、
味気ない味だったけれど、きっとそれは油が抜けきった一番安いサンマだったのだろう。
油ののったサンマというのはほんとにうまいものだ。
それと豆腐に海苔の佃煮か何か載せて食べてみるがこれもまたうまい。
豆腐とサンマというのは安いには安いが極上の料理だと思う、今更ながら。
子母沢寛はインタビューする時にいちいちメモを取らなかったというが、今なら音声レコーダーを回しておくところだろう。
味覚極楽の取材の話らしいが、新選組始末記でもそうやって聞き取りをしたのに違いない。
当時の話し言葉のニュアンスなどをどうやって記憶しておいて文字に起こしたかということを考えながら読むと、
また違ったおもしろみがある。
おそらくインタビュー終えて急いでメモを書いてあとでそれを「肉声」に変換するんだろうが、
テレコから直接文章をおこしたのだと実は大して面白くないのかもしれん。
子母沢寛の江戸っ子風の語り口とそれぞれの話者の実際のせりふとが化学反応を起こして、
なんとも不思議な文章になるのかもしれんなと思った。
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