デンマークという国があります、人口約500万人。400人イラクに派兵していた。で、もう一ヶ月ほど前のことだけど、デンマーク人一人とイラク人二人が戦闘で死亡したわけです。マスコミ的にはあまり話題にならなかったけど、私は非常に興味深かった。アメリカやイギリスのような帝国主義国の人間が戦争で死ぬのはあたりまえだけど、デンマークですよ、むしろ歴史的には弱者。立場変わってもし日本が自衛隊を派遣して人死にが出たらどうなることか。日本人が死なないまでもイラク人を殺したらどうなるのか。非常に興味深い。海上保安庁が領海侵犯した不審船を沈没させて北朝鮮工作員らしき人たちを「殺した」ときもあれだけ騒いだのだから(ていうか勝手に自爆自沈したのだが)。
日本とアメリカは軍事同盟の関係にあって、アメリカが好きか嫌いかとか戦争が好きか嫌いかイラク戦争に賛成か反対かというのはともかくとして、同盟してるんなら兵隊は出さなくちゃならん。もし春秋戦国時代に同盟関係を結んでいるのに兵隊を出さんではすまされん。腹に一モツあると思われて攻撃されてもしかたない。同盟関係というのはそもそもそういうもの。春秋戦国時代も現代も国際関係という意味では大きな違いはない。だからデンマークのような小国でも兵隊を派遣している。
いっそのこと日本人がイラクで死ぬかイラク人を殺すか、そこまでしなければ日本人の平和ボケは直るまい。いったん現実を突きつけられれば、北朝鮮問題のように、(ある程度)現実に即した判断ができるようになる。北朝鮮や共産中国を理想の国のように礼賛してた連中がいたのだから。しかし戦争に関してはまだその呪縛から逃れられていない。
警官だって消防士だって殉職はある。自衛官が一人も死なない方がほんとうは異常なのだ、といえる。自衛隊派遣は殉職の可能性を含めてした方がよいと思う。ということを誰も正々堂々と言わない。まったく異常だ。
イラク戦争に関しては私が書いた通りに推移しているといえる。ていうかアメリカと戦争するならベトナム戦争を参考にするだろうし、総力戦は避けてゲリラ戦に持ち込もうと思うだろうし、となると正面から戦って犬死にするよりは、地下に潜ってアメリカ本国に厭戦気分が高まるまで辛抱強く抵抗を続けるだろう。
ベトナム人にとってかつてそうであったように、イラク人にとっても、またパレスチナ人にとっても、最大の味方はアメリカ本国の平和主義者たちなのだ。
ベトナム戦争ではベトナム人が200万人死に、アメリカ人は3万人死んだそうだ。それだけの覚悟があればアメリカには勝てるのである。日本やドイツのように国際法にのっとって総力戦を仕掛けては負けるだろうが、国際世論を背景に自らの国土を戦場としたレジスタンスを続ければ勝てる。アメリカ人を1万人殺せば間違いなくアラブ人はアメリカ人に勝てる。いや、アメリカが自分で勝手に負ける。問題は中東戦争であれほどあっけなく弱かったアラブ人にそれだけの覚悟があるのかどうかということだったのだ。
ロシア原潜沈没事故、生存者の望みなしとかいう記事を読むと、ああこれはたまたま原潜が原子炉積んだまま沈んだから記事になってるが、この程度のへまはあの国では日常茶飯事なんだろうなあ、人死にが出てもいちいち報道されないくらい頻繁に起きているんだろうなと思うのだった。