今更大騒ぎ

竹島のことにしても尖閣諸島のことにしても、今更という気がする。
このくらいのことは李承晩ラインあたりの歴史を少しでも学んでいれば当たり前のことではないか。
韓流ブームというのも嫌韓というのも、極端に振れているだけのことであり、
極端に振れた方がマスコミにとっては話題性があって視聴率が取れるだけのことだろう。
そしてマスコミを見ているだけの特に何の予備知識もない人たちは、なんだか急に韓国人が暴挙に出た、
いったい何が始まったのだろうか、というように感じるのだろう。
今更、何が暴挙なのか。

なるほど日韓友好は良いことだが、それはつまり、他人のアラを見てみない振りをすることでは実現しない。
隣人の悪いところもすべて知った上で仲良くできなければ友好の意味はない。
今の日本の左翼の反応は、日韓友好という最終目標を、結局は困難にしているだけにすぎない。
その理屈というのは、韓国人が今ちょっとおかしなことをしているが昔日本人はもっとひどいことをやった、に尽きるのだが、
韓国人がおかしなことをすればするほど、日本人はもっとずっと悪者だった、
という証拠をほじくり出してこなくてはならなくなる。しかしそれはいずれ破綻する。
右翼だけでなく一般人にも、左翼は外国人に魂を売って日本を冒涜しているとしか見えない。
それがどれほど外国との友好関係を阻害しているだろうか。

雁屋哲の[「ケチカ君」に餌を与えないで](http://kariyatetsu.com/blog/1499.php)にしろ、
大槻義彦の[九段坂に近寄らない](http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-eec6.html)にしても、
常に、結論ありきで議論しているように思う。

左翼が正しいのでもなく、右翼が正しいのでもない。
結論ありきで議論をすることが間違っているのである。
それは思考停止であってもっとも危険だ。
事実は事実としてありのままに直視すること以外に解決方法はないのだ。
私は今の左翼にこそ、今のマスコミにこそ、戦前の軍部の亡霊を見る。
彼らを見ていると我々日本人が戦前からほとんど進歩しておらず、
未来永劫同じような過ちを繰り返し犯し続けるのだろうと絶望する。
この負の連鎖はどこかの世代で断ち切らねばならないのだが。

戦前の右翼が間違っていたのは自分が正しいと信じ切っていたからだろう。
戦後の左翼も自分が正しいと信じ切っている。
何が正しくて何が正しくないかということは、そんなにきっぱりと割り切れるものではないし、
個人の心情とか信念によって決まることでもない。
正しいか正しくないか一意に決まらないことを、一意に決めようとするから、
間違った判断をすることになる。

大槻教授は物理学者なのだからそのくらいのことはわかっているはずなのだが。

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