徳川正記徳川氏

日本外史の中でも徳川正記徳川氏は異様に長くて切れが悪くてつまらんと思っていたが、
最近は結構楽しく読める。
日本外史を楽しく読んでいるというだけで病気なのに、その中でも一番つまらん徳川氏を面白く感じるとは、病膏肓に入ったというべきだな。
だんだん普通の人間の感覚というものがわからなくなってくる。

最初の辺りに、

> 頼氏、教氏を生み、教氏、家持を生み、家持、満義を生み、満義、政義を生み、政義、親季を生む。

という件があるが、これは文語訳マタイ福音書の

> アブラハム、イサクを生み、イサク、ヤコブを生み、ヤコブ、ユダとその兄弟を生み、ユダ、タマルによりてパレスとザラを生み、・・・

という記述に良く似ている。つまり、ただ単に似ているというよりも、明治時代に福音書を訳すときに、たぶん訳者は日本外史の記述を参考にしたのだろう。或いは漢訳聖書の影響もあるのかもしれない。
そして筒井康隆はそれのパロディ・パブリング創世記を書いたというわけだ。
旧約聖書創世記にはマタイ福音書のような記述はないのだから、本来は創世記というのはおかしい。

新共同訳では

> アブラハムはイサクをもうけ、イサクはヤコブを、ヤコブはユダとその兄弟たちを、ユダはタマルによってペレツとゼラを、・・・

となっていて、より自然でなめらかな口語になっている。まあ、戦後だし、日本外史っぽい口調は嫌われたということだ。

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