安藤レイを出版停止にした

『安藤レイ』は私が46才で心臓を悪くして入院したときの体験をもとに書いたSFで、自作の漢詩を載せたり、なんとかという新人賞に応募して一次通過したり、しばらくして安堂ロイドというテレビドラマが出たりと、いろんなことがあっていろんな思い入れもあるんだが、いろいろ手直してしてkindleに出していたのだが出版停止にした。

SFとしてオチが古臭すぎるというのが一つある。今ならこんなネタのSFは書かないだろう。直しようはあるかもしれないが、すぐには思いつかない。

研究職にあった主人公が工場長になるんだけど、この工場長の描写があまりにも薄すぎる。今ならもっと面白く書けると思うのだが、手直しするには手間がかかりすぎる。

そう。全面的に書き直さなきゃならないがそれは容易ではない。だからとりあえず出版停止にした。SFはこの後に、『妻が僕を選んだ理由』とか『天女降臨』などを書いたのだが、これらは今のところ手直ししなくてもよかろう(そのまま out of date してもよい)と思っている。

工場長に就任して前任者に話を聞きに行く。前任者は忠告する。工場長の任期は2年しかない。前任者のやった通りにやるのが一番苦労がない。新しいことをやろうとしても10のうち1できるかどうかだ。場合によっては100のうち1できるかどうかだ。前任者がやったこと、やらなかったことにはどれも理由がある。前任者がやらなかったことをやろうとすれば必ず何か障害がある。その障害を乗り越えて組織を変える頃には任期は終わっている。だから何も新しいことはしないほうがよい。

とまあ、こんな忠告を受けて、工場長となった主人公は、地元で雇われた番頭さんみたいな人たちに万事任せて気楽に仕事する。

というような話に書き換えたい。もともとそういう話ではあったのだが、より具体的に、リアルな、よりえぐいものが今なら書けるはずだとおもう。でも当分やらないし、たぶん永久にやらないと思う。

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