Half-Life2に[Citadel](http://half-life.wikia.com/wiki/Citadel)というのが出てくるのだが、
漠然と語感から都市という意味かと思ってた。
しかし、wikipediaなど読むと[Citadel](http://en.wikipedia.org/wiki/Citadel)は、
要塞という意味であり、特に18世紀から19世紀くらいにかけて作られた、
セメントやコンクリートで固めた、
[堡塁](http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%A1%E5%A1%81)を備えた近代的な要塞のことを言うらしい。
日本で言えば五稜郭がその典型で、幾何学的な構造を持つ。
citadelの語源はやはりラテン語のcitizenであって、
オーストリア・ハプスブルク家がハンガリー叛乱の鎮圧のためにブダペストに建てた
[Citadella](http://en.wikipedia.org/wiki/Citadella)
が有名だそうだ。
イタリア語では cittadella (チッタデッラ)
と綴るようだ。
[Cittadella](http://en.wikipedia.org/wiki/Cittadella)という名の町はヴェネト州(つまり、ロンバルディアの東、ヴェネツィアの近く)
にもある。普通の中世の都市のようだ。
[Casale Monferrato](http://en.wikipedia.org/wiki/Casale_Monferrato#Via_Garibaldi_and_Sant.E2.80.99Ilario)
では、
> It successfully resisted the Austrians in 1849, and was strengthened in 1852. Towards the end of the 19th century it became known as “Cement Capital” (capitale del cemento), thanks to the quantity of Portland cement in the hills nearby
とあるので、ラデツキー将軍もカザーレの要塞を陥とすことはできなかった、ということになる。
第一次と第二次イタリア統一戦争の間にピエモンテの鉄道網とともに強化された。
capitale del cemento は「セメントの都」とでも訳せばよいか。
カザーレ・モンフェラートは近くにモンフェラートという丘があるのでそう呼ばれる。
モンフェラートではセメント(の原料)がたくさんとれた。
[ポルトランドセメント](http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%BB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88)という、18世紀の終わりにイギリスで実用化された、
近代の普通のセメントがばんばん使われたということのようだ。
> 硬化した後の風合いがイギリスのポートランド島で採れるポルトランド石 (Portland limestone) に似ているから
google maps で見ると、カザーレの要塞はほとんど痕跡を留めてない。
が、南の駅の近くに少しだけ残っているのがわかる。
目を細めてみるとなんとなく星形の全体像が見えてくる。
アレッサンドリアにも見事な cittadella がある。ほとんど完全に残されているようだ。
> In 1348 Alessandria fell into the hands of the Visconti and passed with their possessions to the Sforza, following the career of Milan, until 1707, when it was ceded to the House of Savoy and henceforth formed part of Piedmont. The new domination was evidenced by the construction of a new big Cittadella on the left side of the river Tanaro, across from the city.
とあるので、サヴォア家、つまりヴィットーリオ・エマヌエーレに続く家系がピエモンテの領主になった
1707年以降に作られたもののようだ。
五稜郭と比べるとその巨大さがよくわかる。
同じ縮尺で比べてみるとこんなに違う。
当時のピエモンテと日本の国力の差もこんなだっただろう。
また、市街地に巨大な鉄道駅があり、ピエモンテ交通の要衝であることもわかる。