櫻井よしこがfacebookで
トランプさんの考えていること一体何でしょうか
その行動の意味はなんでしょうか
世界中がトランプさんの心は読めなくて
右往左往しています
しかし今夜の言論テレビはトランプさんの言動の意味を
きっちり分析してみせたいと思います
ゲストは岩田清文さん、ジョセフクラフトさん
戦略の専門家と米国の専門家です
ほかでは聞けないアメリカ論を展開します
このあと夜9時に言論テレビでお会いしましょう!
などと言っているのを見たが、世間ではニュースでもSNSでもみんなトランプ大統領の真意をつかみかねて困惑しているらしい。しかし私からみればトランプの言うことはどれも至極当然のことだ。グリーンランドを買いたいとかガザを買いたいとか言ってることは奇抜で、一つの提案に過ぎないのだろうが、別にそのくらい検討してもよかろう。
ネトウヨらはゼレンスキーが中国と結んでいて中国がロシア支配を狙っている、だからトランプはゼレンスキーが嫌いだ、などという陰謀論を展開したがっているようにみえる。なんなんだよそれは。
ウクライナについてドナルド・トランプが言っていることは私がブログで今まで書いてきたことと同じだと思う。ゼレンスキーはベラルーシとともにウクライナをロシアの友好国に留めるべきだった。ゼレンスキー政権はそれまでのウクライナ政権を踏襲して親ロシア政権となるべきであった。そのうえで辛抱強く粘り強くクリミア問題や東ウクライナ問題をウクライナに有利なように解決していくべきだった。プーチンは遅かれ早かれ死ぬ。プーチンが生きているうちに拙速にことを運ぶべきではなかった。
ゼレンスキーをそそのかしたのは明らかにアメリカ民主党の一部とイギリスであろう。
ウクライナはかつてピョートル大帝時代にロシア帝国に組み込まれ、ソ連邦、ワルシャワ機構の一部だった。そのウクライナが、あー俺もうロシア嫌だなー、ロシアはもう落ち目だから俺もEUに入りたいなあとかNATOに入りたいなあと言えば、そりゃヨーロッパ君たちは大歓迎するだろうし、この機会に積年の恨みを晴らそうと、ウクライナ側についてロシアに宣戦布告するかもしれない。EU諸国はすでにウクライナに武器や資金を提供しているのだから、実質的にウクライナはすでにNATOであり、EUなのである。
しかしヤクザの組員が自分のところからよその組に移ろうと思ってもそりゃあ渡世の仁義が許さない。一度交わした杯をたたき割ってよそと契りなおすにはエンコの一つや二つも落とさにゃなるまい。
ウクライナ領はソ連時代に大雑把に確定していたにすぎず、それは単にソ連内の行政区間という程度に過ぎなかったから、そこには戦略的に非常に重要なクリミアや、ロシア人の方が多く住む地方もざっくりと含まれていた。ソ連が崩壊してもウクライナに親ロシア政権が続く限り問題は何も起きなかった。ウクライナがロシアを見限り、NATOに入ろうなんて言い出さない限りは。
もともとロシア組の子分だったウクライナがヨーロッパ組の子分になろうとする。そりゃ武力衝突するしかないわね。戦後の世界秩序だけでなく、イワン雷帝、ピョートル大帝以来の、スラブ民族間の歴史、ヨーロッパの歴史をみなきゃなぜ戦争になるかなんてわからない。ロシアにはもちろんロシアなりの大義がある。大義という意味ではウクライナ側のほうが弱いとも見える。少なくとも私には。ロシアが勝手にウクライナに侵攻して領土を割譲しようとしている、それは国連が定めた戦後秩序の書き換えになる、侵略はダメだ、などとテレビでは大真面目に言っている。
しかしだね。ロシアがウクライナ領を占領しているのはどこもウクライナ人よりはロシア人が多く住んでいる地域だよね。クリミアなんてロシア軍の基地もある。ウクライナとしてはそうした、ロシアが実効支配している地域を諦めて、それを手切れ金にして、ロシアと縁を切り、NATOに入る、EUに入るっていうんなら、ロシアが認めるかどうかはしらんが理屈は付く。ドナルド・トランプの停戦案はまさにそれだ。プーチンとしてはトランプに言われてしぶしぶ世界平和のために決断した、とでも言えばメンツは立つ。
もしそれは嫌だというならウクライナがロシアに大勝しなきゃならん。戦争によって勝ち取らなきゃ。だけどどうみてもウクライナだけの力ではそれはできない。ヨーロッパに味方になってもらってるけどヨーロッパも全然頼りにならない。
ではアメリカ様よろしくお願いします。それあまりに虫が良すぎないか。
私もロシアは好きではないが、別にウクライナが好きなわけでもないし、ゼレンスキーなんてまったく信用できないし、ヨーロッパは相変わらず自分こそ常に正義だと信じて疑わない。ロシアには負けてほしいがそれはプーチンが高齢で死ねば自然とそうなるだろう。もはやロシアにはウクライナやカザフなんかをつなぎとめておく力はない。となるとシベリアを統治することすら難しい。ウラジオストックあたりがロシアから独立して新政権ができる可能性だってある。ともかくウクライナのことなんかほっとけば良いのだ。遅かれ早かれスラブ民族どうしの力関係で落ち着くところに落ち着くしかないんだからさ。まして日本には何の関係もない。多少北方領土問題に関連してくるかもしれんが。しかし北方領土が還ってきたとして、北海道や秋田や能登半島にすら住みたがらない日本人があんなところへ移住しようと思うだろうか。
私はトランプが言っていることはごくまっとうなことだと思う。極めて現実的で常識的な判断だと思う。アメリカとロシアがウクライナの頭越しに停戦してヨーロッパが憤激する。国際政治でこれまで普通に見られたことじゃないか。何ら不思議なことはない。トランプに賛成する声がほとんど聞こえてこないのは不思議だ。そりゃアメリカ国民はロシア大嫌いなんだろうけどさ。
バイデン政権時代アメリカは相当ウクライナを見えない形で支援してやったと思う。ゼレンスキーが首都キエフに踏みとどまれたのも、緒戦でロシア軍の首都攻略を阻止できたのも、すべてアメリカのお膳立てだったのに違いない。ゼレンスキーを救国の英雄に仕立て上げたかったのはそもそもアメリカだ。アメリカ人がああいう演出を好むのはハリウッドを見ればわかる。
だが戦争が長期化してきてアメリカも飽きてきた。もしかしたらウクライナは強いのかもしれない、ゼレンスキーはもしかしたらウクライナ国民に熱狂的に支持されているのかもしれない、という淡い期待は消え去った。ウクライナはすでにアメリカという延命装置を外されたらすぐ死ぬ病人に過ぎない。
ベトナム戦争は20年経ってアメリカ人も飽きてきた。
アフガン戦争は40年経ってアメリカ人もさすがに飽きた。
ウクライナ戦争はまだ3年しか経ってない。ここでトランプがやめようと言い出したのはアメリカ人らしくなくて良い。