ドナルド・トランプとウクライナ

ドナルド・トランプが言っていることは私がブログで今まで書いてきたことと同じだと思う。ウクライナはかつてピョートル大帝時代にロシア帝国に組み込まれ、ソ連邦、ワルシャワ機構の一部だった。そのウクライナが、あー俺もうロシア嫌だなー、ロシアはもう落ち目だから俺もEUに入りたいなあとかNATOに入りたいなあと言えば、そりゃヨーロッパ君たちは大歓迎するだろうし、この機会に積年の恨みを晴らそうと、ウクライナ側についてロシアに宣戦布告するかもしれない。EU諸国はすでにウクライナに武器や資金を提供しているのだから、実質的にウクライナはすでにNATOであり、EUなのである。

しかしヤクザの組員が自分のところからよその組に移ろうと思ってもそりゃあ渡世の仁義が許さない。一度交わした杯をたたき割ってよそと契りなおすにはエンコの一つや二つも落とさにゃなるまい。

もともとロシア組の子分だったウクライナがヨーロッパ組の子分になろうとする。そりゃ武力衝突するしかないわね。戦後の世界秩序だけでなく、イワン雷帝、ピョートル大帝以来の、スラブ民族間の歴史、ヨーロッパの歴史をみなきゃなぜ戦争になるかなんてわからない。ロシアにはもちろんロシアなりの大義がある。大義という意味ではウクライナ側のほうが弱いとも見える。少なくとも私には。ロシアが勝手にウクライナに侵攻して領土を割譲しようとしている、それは国連が定めた戦後秩序の書き換えになる、侵略はダメだ、などとテレビでは大真面目に言っている。

しかしだね。ロシアがウクライナ領を占領しているのはどこもウクライナ人よりはロシア人が多く住んでいる地域だよね。クリミアなんてロシア軍の基地もある。ウクライナとしてはそうした、ロシアが実効支配している地域を諦めて、それを手切れ金にして、ロシアと縁を切り、NATOに入る、EUに入るっていうんなら、ロシアが認めるかどうかはしらんが理屈は付く。ドナルド・トランプの停戦案はまさにそれだ。プーチンとしてはトランプに言われてしぶしぶ世界平和のために決断した、とでも言えばメンツは立つ。

もしそれは嫌だというならウクライナがロシアに大勝しなきゃならん。戦争によって勝ち取らなきゃ。だけどどうみてもウクライナだけの力ではそれはできない。ヨーロッパに味方になってもらってるけどヨーロッパも全然頼りにならない。

ではアメリカ様よろしくお願いします。それあまりに虫が良すぎないか。

私もロシアは好きではないが、別にウクライナが好きなわけでもないし、ヨーロッパ贔屓なわけでもない。ロシアには負けてほしいがそれはプーチンが高齢で死ねば自然とそうなるだろう。もはやロシアにはウクライナやカザフなんかをつなぎとめておく力はない。となるとシベリアを統治することすら難しい。ウラジオストックあたりがロシアから独立して新政権ができる可能性だってある。ともかくウクライナのことなんかほっとけば良いのだ。遅かれ早かれスラブ民族どうしの力関係で落ち着くところに落ち着くしかないんだからさ。まして日本には何の関係もない。多少北方領土問題に関連してくるかもしれんが。しかし北方領土が還ってきたとして、北海道や秋田や能登半島にすら住みたがらない日本人があんなところへ移住しようと思うだろうか。

トランプに賛成する声がほとんど聞こえてこないのは不思議だ。そりゃアメリカ国民はロシア大嫌いなんだろうけどさ。

バイデン政権時代アメリカは相当ウクライナを見えない形で支援してやったと思う。ゼレンスキーがキエフに踏みとどまれたのも、緒戦でロシア軍のキエフ侵攻を阻止できたのも、すべてアメリカのシナリオどおりだったのに違いない。だが戦争が長期化してきてアメリカも飽きてきた。もしかしたらウクライナは強いのかもしれない、ゼレンスキーはもしかしたらウクライナ国民に熱狂的に支持されているのかもしれない、という淡い期待は消え去った。ウクライナはすでにアメリカという延命装置を外されたらすぐ死ぬ病人に過ぎない。

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