儒林外史を借りてきた。
がまんして読むとなかなかおもしろい。
主人公は次々と入れ替わるのだが、
その一人で范進という人が書いた論文が、
一度読んでも二度読んでもつまらないが三度読むとたいへんな名文に思えたというくだりがあるのだが、
まさにそんな感じ。
辛抱して何度か読むと少しおもしろくなってくる。
それはそうと儒林外史を借りるとき検索して見つけた大槻東陽著「啓蒙挿画日本外史」
というもの。
明治35年発行(初版は明治20年)。
ネットで検索するとなかなかこれは珍本らしい。
大槻東陽という人は日本外史をいくつか出しているようだ。
「啓蒙日本外史」、「訓蒙日本外史」など。
啓蒙、訓蒙ともに啓蒙という意味で、
中等教育に用いられたらしい。
推測するに、「啓蒙日本外史」なるものがあり、それに挿絵を追加した版なのではないか。
平将門や源為朝らの挿絵がなかなか興味深い。
いわゆる漢文読み下し文、ふりがなと簡単な脚注付き。
外史とは天皇家ではなく武家の歴史だから外史というのかと漠然と理解していたのだが、
それでは儒林外史の外史の意味がわからなくなる。
外史というのは外伝というのと同じで、
正史に対する外史、正伝に対する外伝ということなのだろうけど、
意味合いとしては、本来歴史を編纂する立場にない人が勝手に書いた歴史、
とでもいうことか。
単に「別伝」とか本編から派生したエピソード集とか本編に入りきれない拡張版とか、
そんな使い方もあるようだが。
清朝初期に成立したというから、頼山陽も当然読んでいただろう。
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